冬には珍しくあたたかい日が続いた年始…
皆さまいかがお過ごしでしたか。
HPメンテナンスのため、少しブログ更新の間が開いてしまいました。
このブログをいつも読んでくださっている皆さま、お待たせしました。

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1月11日(土)に今年初の講演会、
「アルタイ山中のクルガン(墳墓)」を開催しましたのでレポートします。
今回は、まだロシアの国名がソビエト連邦だった約30年前…
1991年の夏に参加した「パジリク王墓日ソ合同調査」のことを振り返りつつ、
日本とアルタイ地方の墳墓の比較と、
その共通点から見える葬制の関係についてを話しました。
その共通点から見える葬制の関係についてを話しました。
アルタイ地方とは、中国・モンゴル・カザフスタンの国境付近のことです。
気温が低くて一年の多くを氷に閉ざされているうえ乾燥しているため、
墳墓などの保存状態が非常によいことで知られていました。
墳墓などの保存状態が非常によいことで知られていました。
この地で発展したスキタイ系遊牧騎馬民族の歴史と文化を探るため、
ソ連と日本・アメリカ・イギリス・韓国などが共同研究を行いました。
クルガンとは、積石(もしくは盛土)のある墳墓のことで、
日本の古墳やヨーロッパのケルンによく似ています。
形状や大きさは地域や時期により異なりますが、円形や方形があり、
直径約10mから45mほどのクルガンが確認されています。
日本の古墳やヨーロッパのケルンによく似ています。
形状や大きさは地域や時期により異なりますが、円形や方形があり、
直径約10mから45mほどのクルガンが確認されています。
基本的にクルガンは、①東に立石(立石群)、②西に祭祀遺跡があり、
③中央の墓坑内の遺体が東枕で納められています。
③中央の墓坑内の遺体が東枕で納められています。
真東の墳丘外縁の列石上には、石臼が一対置かれていました。
日本の古墳と同じように、クルガンも方位を意識した祭祀がなされているようです。
和田館長が発掘調査で刳抜式木棺の実物を見るのはこの時が初めてだったそうです。
木棺の両側には青銅の釘が打ち込まれて、魚の目玉のようにも見えます。
アルタイ地方では木棺に鯰(なまず)など魚の絵を描いたものや、
魚形の馬飾りが見つかっていることから、
魚を神聖なものとして捉え、水に関連した葬送儀礼が行われたのではないかとのこと。
魚形の馬飾りが見つかっていることから、
魚を神聖なものとして捉え、水に関連した葬送儀礼が行われたのではないかとのこと。
西側には祭祀遺跡とみられる直径約2mのストーンサークルが9つほど見つかりました。
ここでもクルガンの基本どおり、①東に立石、②西に祭祀遺跡、
③東枕にした遺体が確認され、馬の骨が出土しました。
ここでもクルガンの基本どおり、①東に立石、②西に祭祀遺跡、
③東枕にした遺体が確認され、馬の骨が出土しました。
直径40mを超える大型クルガン群や、岩壁画の紹介もありました。
壁画には、大きな角のシカやヤギ、ヒツジなど様々な動物が描かれています。
壁画には、大きな角のシカやヤギ、ヒツジなど様々な動物が描かれています。
中央アジアの遺跡と聞くと、一般には壁画のイメージのほうが強いかもしれませんね。
日本国内だけではなく、さまざまな国の墳墓や副葬品を比較してみると、
墓にこめられた共通する思想や葬礼がわかる。
また墳墓を研究することは、その地域に存在した権力のかたち、
つまり社会の様子を考える大きな手がかりになる。
今後も国内外の墳墓などから研究を進めていきたい、と講演を締めくくりました。
ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。