7月31日(土)に、連続講演会「兵庫考古学研究最前線2021 古墳時代の兵庫②『権現山51号墳の三角縁神獣鏡は語る』」を開催しました。 講師は (公財)兵庫県まちづくり技術センター埋蔵文化財調査部の山本 誠 次長です。 旧石器時代がご専門ですが、岡山大学在学中に近藤義郎先生のもとで権現山51号墳(たつの市御津町)の発掘調査に参加されたことから、古墳時代の三角縁神獣鏡についての研究をされています。 講演では始めに、権現山51号墳の発掘成果や発掘調査時の貴重なエピソードをご紹介くださり、三角縁神獣鏡という考古資料が語る 歴史、 王権の動き等 をお話しいただきました。 そして「ここからは僕の妄想ですが…」と前置きがあり、 古墳からの景観から推測した持論を聞かせてくださいました。 風土記などの文献や地名などの情報、実際の現地調査をふまえ、 三角縁神獣鏡が出土する古墳は、港と密接な関係があるのではないか?とのこと。 さらに、「船が停泊する港のなかでも、海の港ではなく"川港”の位置に注目し、 海を眺望したとはいえない地域にある古墳でも、川港であれば可能性がある。」 また「大きな前方後円墳だけではなく、なぜ小さな円墳や方墳にも三角縁神獣鏡が見つかるのか。これのことが解明にもつながるのでは」とされ、「今後の調査に期待したい」とのお話でした。 さらに、「現在まちづくり技術センターで調査中の登リ田遺跡(姫路市継)にも、『播磨国風土記』にみえる継潮(つぎのみなと)の可能性がある。調査成果はいずれ報告書や博物館の展示などで紹介するので、そちらにも注目していただきたい」とお話しされました。 * * * 今回の講演でとり上げられた三角縁神獣鏡のモデルとなったとされる中国の鏡「神獣鏡」は、 当館の加西分館「 古代鏡展示館 」で見ることができます。 こちらへもぜひ、おでかけください。
弥生の村、史跡大中遺跡に隣接したフィールドミュージアムです。