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7月 5, 2020の投稿を表示しています

#自宅でも考古博 30「副葬品を入れるとしたら?」

 テーマ展示室の「交流」のコーナーに入ると、目の前に大きな石棺が現れます。  古代船(準構造船)とともに、圧倒的な存在感を発揮していますね。  この展示品も古墳時代と同じように、高砂市から加古川市にかけて産出する「竜山石(たつやまいし)」を使って復元しています。しかも、どうせなら竜山石製石棺のうちで最大、しかも現在は陵墓参考地として目にすることができない見瀬丸山古墳(五条野丸山古墳ともいいます。奈良県橿原市)の家形石棺を原寸大で復元し、修羅という木ソリで運ばれていく様子を再現しています。 家形石棺 竜山石で復元(当館テーマ展示室)  さて、古墳時代の有力者が亡くなると、なきがらと一緒にお墓に入れられる貴重品がありますよね?  そう、副葬品です。  遺跡の発掘調査に憧れ、考古学を志す者が圧倒的に夢見るのが古墳の発掘。そして一体どんな副葬品が眠っているのか、想像するだけでワクワクしてきませんか。  私も中学時代に、藤ノ木古墳(奈良県斑鳩町)の未盗掘の石棺が発掘されるという報道に接しました。ファイバースコープを入れて石棺内部の様子を探るというニュースを、テレビにかじりついて固唾を飲んで見守った思い出があります。 藤ノ木古墳の記者発表を行う 石野名誉館長 (当時奈良県立橿原考古学研究所副所長) 朝日新聞社『アサヒグラフ 藤ノ木古墳大特集』(1988)より  ところで、古墳にはどのような副葬品が、どのような場所に納められていたのでしょうか?  大きな古墳は過去に盗掘されていることが多く、なかなか埋葬当初の様子をうかがい知ることができる機会は多くありません。長年発掘調査に携わっている調査員でも、埋葬当初のままの石室を掘り進み、手つかずの棺の蓋をあける幸運な経験に恵まれるのはほんの一握りの人でしょう。  私もまだ蓋を開けたことはありません。  では、古墳の埋葬施設に副葬品の置かれた様子を見てみましょう。  イラストは古墳時代の前期(3世紀後半から4世紀頃)の埋葬施設を佐賀市金立銚子塚(きんりゅうちょうしづか)古墳の発掘調査成果をもとに描いた想像図です。 前期古墳の副葬状況想像図 (佐賀県立博物館『日本の古墳』1998より)  有力者のなきがらの右脇には、大刀が先を足元に向けて置かれ

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