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4月 26, 2020の投稿を表示しています

#自宅でも考古博 10「ウィルス退散!のいま・むかし」

 当館の展示ケースの中でも、特に背の高いのがテーマ展示「社会」にある「人形ケース」です。中には、人、馬、舟などの形をした木製品が展示されていて、それぞれ人形(ひとがた)、馬形(うまがた)、舟形(ふながた)と呼ばれています。  これらは豊岡市の袴狭遺跡群(はかざいせきぐん)から出土したもので、奈良時代~平安時代に使われたおまじないの道具です。木製祭祀具(さいしぐ)と総称されており、袴狭遺跡群からは1万点以上も出土しています。 ひとがたケース  これらの木製祭祀具は、6月と12月の1年に2度行われる大祓(おおはらえ)という儀式で主として使われたようです。大祓とは、半年の間に知らず知らずのうちに溜まった罪や悪いものをとり除き、無病息災をお祈りする儀式で、当時は都や各地の役所で公的行事として行われました。  現在でも宮中を始め、全国の神社などで行われています。 湊川神社(神戸市兵庫区)の大祓 (羽生結弦さんのプログラム「SEIMEI」の決めのポーズです)   現代の人形、動物形、車形の一例。紙製 (古代の大祓の想像図)  おはらいの方法は、人形に息を吹きかけ、人形で体をなで、体に溜まった罪や悪いものを人形に移してしまいます。そのため、人形の別名を「撫でもの」ともいいます。悪いものを移しやすくするためか、人形には役人の顔が描かれているものもあります。なかなか個性的な顔もあります。 (顔が描かれた人形:袴狭遺跡群出土/豊岡市)  儀式の最後に、人形を水に流します。そうすることで、体に溜まっていた悪いものは人形と共に流れ去ってしまう、という仕組みです。  現在、世界では新型コロナウィルスが蔓延していますが、このような病気の流行は人類の歴史の中で何度も繰り返されてきました。古代の人々はそれに対し、国を挙げて「おまじない」をするなどして対抗しました。  そして今、私たちには科学的知識があります。広く情報を共有する手段もあります。昔と同様、国も県も様々な手段を講じています。  私たち個人がこの病気に対抗するためにできる現代の「大祓」、それは「#おうちにいよう」。昔の人が様々な難局を乗り越えてきたように、私たちもがんばりましょう。人形たちもお会いできるのを待っていますよ。 (学芸課 中村 弘)

#自宅でも考古博 9 「スゴ技・火おこし」

 考古博物館の定番古代体験のひとつが「火おこし」です。今はライターやマッチで簡単に火が付きますが、昔は木の棒と板だけで火をおこしました。 古代の火鑽臼(ヒキリウス)  体験用の道具は、杉板の 火鑽臼(ヒキリウス) とセイタカアワダチソウの揉鑽(モミギリ)です。ヒキリウスにはあらかじめくぼみと切目が入っています。このくぼみにモミギリをあてて回転させ、その摩擦熱で火をつけます。   体験用の火鑽臼(ヒキリウス)と揉鑽(モミギリ)  それでは学芸員のスゴ技をごらんください。実演は火おこし歴20年の中村弘学芸課長です。所要時間は約1分です。 火おこし動画モミギリ(約1分)  いかがだったでしょうか。簡単そうに見えるかもしれませんが、手のひらでモミギリをはさみこんで、ヒキリウスに押しつけながら回転させるので、相当力が必要です。    もう少し楽にするために二人で代わる代わるモミギリを回す方法もあります。実演は中村学芸課長と学習支援課の岡本さんです。 火おこし動画モミギリ二人(約40秒)  ピッタリ息があってるとは言えないかもしれませんが、一人でするよりはずいぶん早くできます。さらに楽にできるのがユミギリを用いる方法です。 火おこし動画ユミギリ(約40秒)  これは楽そうですね。でも昔の人はモミギリでももっと早くできたかもしれませんね。博物館が再開したら、みなさんもぜひチャレンジしてみてください。 (企画広報課 多賀茂治)

#自宅でも考古博 8 「フィギュアを観察してみよう」

 当館のテーマ展示室入口には、展示の各テーマを象徴するフィギュアが4組並んでいます。さらに観覧者の方に直感的に訴えかけるために、ミニチュアだけではなく、実物大のフィギュアも取り入れています。 (テーマ展示室入口のフィギュア)  中でもテーマ展示室2には数多くのフィギュアが集合しています。これらのフィギュアは学芸員が遺跡から見つかった資料だけではなく、想像力も加味して精巧に復元したもので、一つ一つのフィギュアを観察する、複数のフィギュアを比べてみる事で古代の暮らしに思いをはせることができます。  でも、「観察するといっても、どこを見ればいいの?」という声が聞こえてきそうです。そこで、今回はフィギュアを見る際のチェックポイントをご紹介します。 ポイント1 服装を見る。  どんな服を着ているのか、材質も含めてチェック!  どのような服を着ているか、服の材質がどんなものなのかは、それぞれの時代の気候や暮らしと密接に関係しています。 ポイント2 アクセサリーを見る。  アクセサリーをつけているのか?、いないのか?。つけているのは女の人?それとも男の人?などをチェック!  今のわたしたちにとって、アクセサリーはファッションアイテムですが、昔の人にとっては、身分を表すものであったり、お守り的な意味もあったと考えられます。 ポイント3 顔つきを見る。  顔の形に違いがあるのかをチェック!  テーマ展示室1では「私たちの由来」ということで、日本人の成り立ちについて説明しており、その復習です。ちょっと難しいかもしれませんが、フィギュアたちの顔つきを比べて、違いを見つけてください。 (テーマ展示室2のフィギュアたち) 以上、簡単ですがフィギュアを観察するポイントを紹介してきました。この他にも、どのような道具を持っているのかとか背景に描かれた当時の風景にも注目点が…。そして、上を見上げてみるのも面白いかも。  最後にちょっと難しいクイズを1問。  展示室入り口のミニチュアフィギュアは、拡大すると展示室内の実物大フィギュアとほぼ同じになるのですが、1つだけそのまま拡大すると展示室のものと大きく異なるものがあります。それはどれかな?。休館が終わったら、確かめに来てください。 (埋蔵文化財課 鐵 英記)

#自宅でも考古博 7「古代船のささ舟づくり」

 当館の展示室の真ん中に、ドドーンと置いてあるのは、古墳時代の準構造船を再現したものです。 古墳時代の準構造船(復原)  一番の基礎となっているのは船底部で、一木をくり抜いた丸木舟になっています。その上に舷側板や竪板(たていた)を継ぎ足して船を深くしています。  丸木舟と 構造船(すべて板でできた船)との過渡期ということで、準構造船と呼んでいます。 準構造船の部分名称  このような上下二段構造になっている準構造船をささ舟にしてみました。   <準備品>台紙・はさみ・のり (1)古代船ささ舟の台紙をA4サイズで印刷します (上の図をクリックしてください。pdfファイルが開きます。) (2)全部で5つ分あるので、そのうちの一つを切り取ります。 (3)両端を折り曲げます。 (4)裏返し、線に沿って切り込みを入れます。 (5)黒く塗られた部分を切り取ります。  はさみを使うのは以上です。 (6)中央の2カ所に折り目をつけます。 (7)真ん中を軽く曲げます。   (8)①と印刷されている部分同士を重ねます。  その時、①の片側に少しのりを付けて、 反対側①の中を通すようにします。  左右対称になるように、 直角に交わらせるのが、 きれいにつくるポイントです。   (9)こんな感じです。   (10)同じように②と印刷されている部分も重ねます。   (11)こんな感じです。   (12)反対側も①どうし、②どうし、重ねれば、完成です       (13)延期中の春季特別展のチラシを背景にしてみました。    いかがでしたでしょうか?  うまく、できましたか?  台紙を色紙にしたり、舟に模様や色をつけたり、アレンジもできます。  昔、本物の笹を使ってささ舟を作ったことのある人にとっては、なじみのある方法ではないでしょうか。  それを古墳時代の準構造船に合わせて、上下2段にしたところが、この「古代船ささ舟」のミソです。 (学芸課 中村 弘)

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