兵庫考古学研究最前線2022、『弥生時代の兵庫』第2弾は「石・鉄・銅の武器-弥生時代の兵庫-」と題して開催されました。 本日の講師は、公益財団法人兵庫県まちづくり技術センター埋蔵文化財調査部の園原悠斗さんです。 原始古代における武器は、弓矢、剣、刀、ヤリなどで、中でも弓矢は弥生時代から中近世に至るまで主たる武器として用いられており、特に矢の先端 の鏃(やじり)の部分の材質や形態、寸法などの違いは、当時の社会像を復元するうえで、考古学研究では欠かすことのできない注目点だそうです。この講演会では、弥生時代1,000年における武器の変容と、古墳時代に向かっての社会の変遷について、弓矢(鏃)に焦点を当てて解明してくださるとのこと。 会場は今回もほぼ満員のお客様、いつもありがとうございます。 鏃の材質には、石、鉄、青銅、木材、動物骨、牙などがあるそうですが、木材や、骨、牙などは大半が地中で朽ちてしまい、分析するほどの数がないそうです。そこで、多く出土し、ある程度原形をとどめている石、鉄、銅について分析するとのことです。 矢は、大まかにいえば、先端の鏃と木製の柄の部分(柄の後方は矢羽を設える)と、柄の先端に鏃を取り付けるための根挟みという部材でつくられています。鏃には獲物に刺さる先端部分(刃部)と、根挟みや矢の柄に取り付けるための部分(基部・茎部)に分けられ、先端の形状や基部の形状も時代や地域によって特徴があるそうです。 1 石の鏃について 石の鏃の基部の形(上図2段目及び3段目)を見ると、弥生前期は凹基式(2段目左端)が8割以上で、これは縄文時代の影響が色濃く残っているのではないかということです。武器と土器とでは縄文時代の影響の受け方に多少差があるようです。 弥生中期前葉では凸基式が出現しますが、兵庫県は近畿地方では遅い出現だそうです。前期と同じく最も多いのが凹基式で、次に平基式(2段目の左から2番目)が多いそうです。 中期中葉からは地域によって差が出始め、西播磨では凹基式か平基式、東播磨では凸基式、続いて平基式、西摂地域では凸基式、続いて短茎式(上図2段目右から2番目)、弥生中期後葉では、短茎式が一番多く、凹基式、平基式は3割以下になり、近畿地方的文化の西方波及が読み取れ、弥生後期になると、出土量が激減し、短茎式、平基式に加えて、凹基式が散見される程度となったようです。 な...
弥生の村、史跡大中遺跡に隣接したフィールドミュージアムです。