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夏季企画展関連講演会 「但馬の文字を、読み・披(ひら)く」

  夏季企画展関連講演会として、 8月3日(土) 13時30分より、 山本 崇氏(奈良文化財研究所 文化遺産部 上席研究員 歴史史料研究室長)を講師として招聘し、 「但馬の文字を、読み・披(ひら)く」と題して、ご講演をいただきました。  「よみひらく」とは、読んで意味を明らかにするということです。木簡や、墨書土器の読みについて、調査、整理、保存処理、史実、字形等、詳しく教えていただきました。   今回も多くの皆様が参加され、熱心に受講されていました。    講演会終了後、特別展示室において実物を前に更に詳しいお話を聴くことができました。  山本先生におかれましては、ご多用の中ご講演に続いて展示品の解説もしていただき、ありがとうございました。(小林)

ほったんのなぜなぜコーナー 「夏季企画展:但馬国」

      (ほったん) 前回は「木製品」の保存方法について教えてもらったけれど、改めて見てもやっぱり但馬地方は木製品の出土品が多いね。 文字の書いてある木簡以外にも いろいろな木製品があるよ。 人形(ひとがた)や馬形、鳥形、舟形・・・ お皿、下駄や独楽(こま)まである。 こんなにいろいろな種類の木製品は何のためにつくられたのかな? (学芸員) 但馬地域は木製品が良好な状況で保存される環境である 低湿地の遺跡が多いので、木製品がたくさん残っていたんだよ。例えば全国で出土した人形の半分くらいは但馬からのものなんだ。これは兵庫県としても自慢できるかな。   木皿などは食器として使ったものも多いだろうけど人形、馬形などの木製品は祭祀(さいし=おまつり)用として使われていたんだ。     そういえば、6月におこなった「ひとがた流し」では木でできた人形を使っていたね。でもその時は人形だけだったと思うけど。   そうだね。人形は一年に2度、6月と 12 月の晦日(みそか=最終日)に執り行う大祓(おおはらえ)で使われていたんだけれど、それ以外の馬形や鳥形、舟形は穢(けが)れを背負った人形の乗り物と考えられていたんだ。   こちらの袴狭(はかざ)遺跡の人形をよく見てごらん。同じ人形でもさっき見た砂入遺跡の人形は「なで肩」だったけど、少しずつ形が違っているよね。手の有無や首から肩への切り欠きの角度によって、作られた時期の違いを見分けることができるんだよ。   へー なで肩から怒り肩に変化しているんだ。大きさもいろいろあるね。   同じく袴狭遺跡から出土した大型の人形は1m以上もあって「一人 當(当) 千急々如律令」と墨で書かれているんだ。「急々如律令」とはおまじないの即効性を願う決まり文句なんだけど、この人形1体で千体分の効力を期待していたんだね。   それは少し厚かましすぎるんじゃないの。 それで願い事が叶うなら「夏休延長 急々如律令 」と書いて流そうかな。 そういえば、このようなお祓いを行う場所は、役所の近くだったって言っていたね。 ということは、これらの遺跡の近くに...

燃えた!! 弥生時代の土器工房

  7 月20日(土)  、 夏季企画展関連講演会を行いました。 講師は、野田優人氏(兵庫県教育委員会 文化財課 主任)で、演題は「 燃えた!! 弥生時代の土器工房」です。 13時30分より15時まで、考古博物館講堂におきましてご講演いただきました。  今回も多くの皆様が参加され、熱心に受講されていました。  質疑応答も活発におこなわれました。      講演会終了後、特別展会場において更に詳しいお話を聴くことができました。少しですが、その様子を動画で紹介します。  今回は、城山遺跡から見つかった竪穴建物1棟に注目して「燃えた」と「土器工房」に焦点を当てたご講演でした。  次回は、 7月27日(土) 13時30分より発掘調査速報会が、 考古博物館講堂で実施されます。お話を聴いて、夏季企画展を閲覧しますとより楽しさが倍増しますので、是非ご参加よろしくお願いいたします。(小林)

ほったんのなぜなぜコーナー 「夏季企画展:木簡編」

      (ほったん) 今回の夏季企画展では「木製品」の展示がとても多いね。 1000 年以上も昔の木製品が文字の読める状態で出てくるなんて信じられないなぁ。 それと、どうして但馬地域はひとがたや木簡などの出土が多いのかな?   (学芸員) 木製品が、このようなきれいな状態で残っているのはとても奇跡的なことなんだよ。 良好な状態で保存される環境としては、「乾燥(かんそう)」か正反対の「湿潤(しつじゅん)」の安定した状態が維持されていることが大事なんだ。 湿潤な環境としては川や井戸、それから低湿地などがあるけれど、但馬地域にはそのような条件に合う場所が多かったんだよ。     「乾燥した状態では、劣化しにくい」というのは何となく分かるけれども、「湿潤」だと腐りそうな気がするんだけど。   そうだね。日本では気候の関係から、なかなか「乾燥した状態」という条件は難しくて、ここに展示してある木製品は湿潤な状態が保たれていたから、今まで残っていたんだ。どれも地中で一定の地下水が周りにある状態で静かに眠っていたんだね。   これら木製品を発掘した場合は、空気に触れてしまうと急速に乾燥が進んでしまって壊れてしまうんだ。それと太陽の光、紫外線も大敵になる。だから掘り出したらすぐに水の中で保管するんだ。   えーっ わざわざまた水に浸けちゃうの? そんなことしたらよけいにバラバラになりそうな気がするけれど。   反対に水が空気を遮断して、乾燥したり腐ってしまうのを防いでいるんだ。 さらに、発掘した木製品を水から出しても大丈夫にするためには「保存処理」という作業が必要なんだよ。その作業にはいくつかの方法があるけれど、一番一般的なのは PEG (ポリエチレングリコール)という樹脂を溶かした60℃の溶液にじっくり1年以上の時間をかけて浸みこませる方法なんだ。 これが実際にその作業を行っているところだよ。 ちょうど、夏休み期間の7,8月に4日間(1日2回)「バックヤード見学ツアー」を行っているから遺物整理室や保存処理室などをじっくり見ることができるよ。       ※バックヤード見学ツアー  〔7/24,31、8/14,2...

企画展開幕 遺跡公園の梅も開花!

冬季企画展「兵庫津-中近世の港湾都市-」、本日開幕しました。 開館時間から、大勢のお客さまが観覧に訪れてくださっています。   開幕を祝うかのように、当館の西出入口の梅が咲きはじめました。 昨年より一足早い開花です。今日の暖かさで、来週あたり一気に花が開くかもしれませんね。 企画展は本日から3月12日(日)まで開催します。ぜひご覧ください。

令和4年度 発掘調査速報会報告

開催中の夏季企画展「ひょうご発掘調査速報2022-五国の逸品-」に関連して、発掘調査速報会が開催されました。 発掘調査を行っている公益財団法人兵庫県まちづくり技術センター埋蔵文化財調査部と考古博物館の共催です。 令和3年度に兵庫県内で実施した、中村群集墳(神戸市西区)、玉津田中遺跡(神戸市西区)、住吉川右岸遺跡(丹波篠山市)の発掘調査の成果報告です。 熱心な考古学ファンの皆さんで会場はいっぱいです。暑い中ありがとうございます。 最初に、まちづくり技術センターの廣田常務理事が挨拶されました。まちづくり技術センターの業務について、また、社会基盤整備に基づく埋蔵文化財調査の意義について話してくださいました。 調査成果報告のトップバッターは、埋蔵文化財調査部調査第2課の稲本悠一さんです。担当の中村群集墳について報告してくださいました。 中村群集墳は、第二神明道路の建設に先立ち、昭和43年(1968年)に2基の古墳の発掘調査が行われ、古墳時代後期(約1,500年前)の群集墳として知られていました。 令和2年度の調査では、弥生時代後期、古墳時代前期、古墳時代後期の3時期の墳墓が見つかり、令和3年度の調査では、弥生時代終末期から古墳時代初頭の墳墓、溝、集石遺構などが見つかりました。 また、埋葬施設は「礫槨(れきかく)」と呼ばれる兵庫県内では類例のない、土ではなく大量の礫で埋められているもので、とても珍しく貴重な発見となったそうです。 続いて、調査第2課の鈴木郁哉さんから玉津田中遺跡の報告です。 玉津田中遺跡は、先ほどの中村群集墳のすぐ東にあり、縄文時代から古墳時代後期を経てさらに中世に至る集落遺跡で、弥生時代には明石川本流域における最大の拠点集落として発達したとのこと。 No.175地点では、中世の水田遺構と溝で囲まれた屋敷地が見つかり、1kmほど北東にあるNo.164地点では、古代から中世にかけて同じ場所で集落が営まれていたことが分かったそうです。掘立柱建物の詳しい位置や想像される建物についても解説がありました。 最後は、同じく調査第2課の園原悠斗さんから丹波篠山市にある住吉川右岸遺跡についての報告です。 成果として、弥生時代後期の溝と弥生土器、古墳時代中期の竪穴建物と旧河道、奈良時代の掘立柱建物、焼土杭、土坑、柱穴、平安時代の溝に囲まれた掘立柱建物、溝、土坑、柱穴、鎌倉時代の...

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