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12月 8, 2019の投稿を表示しています

兵庫考古学研究最前線2019「考古学からみた人形ながし」

一年も終わりに近づき、「今年もいろんなことがあったなぁ」と思いかえす時期です。 むかしから人は災いがおきる原因が、知らないうちに身体にたまった「ケガレ」がひきおこすと信じていました。 こうしたケガレを自分の身替りにうつして水に流し、災いを絶つことが古代から行われています。 12月7日(土)、シリーズ講演会・兵庫考古学研究最前線2019第3弾、 「考古学からみた人形ながし」を開催しました。 講師は、兵庫陶芸美術館の藤田 淳 所長補佐兼学芸課長。 砂入遺跡(豊岡市)で古代のおまつりの様子を調査されました。 今回は遺跡から遺跡から発掘されたおまつりの様子や道具について 講演いただきました。 テーマの人形は、私たちが知っているものと少し違います。 まずはじめに、「人形(ヒトカタ)とはどのような形をしていて、 どんな役割を持つものか?」という説明から始まりました。 考古学では、「ヒトを模してつくったおまつりの道具」のことを指します。 遺跡で見つかる多くは木製品ですが、平安中期に記された『延喜式』などには、 木に金銀を塗ったものや、鉄製の人形もあると記録されています。 ちなみに遺跡から出土したものでは、全長20cm程度のものから 1m以上ある大きなものまで、大きさはいろいろです。 人形は、古代の宮中でおこなわれた「祓(はらえ)」の行事に由来します。 毎年6月と12月の末日=晦日(みそか)に行われる大祓(おおはらえ)では、 半年の間にたまったケガレを、自分や親しい人に似せた人形にうつして 水に流し、身を清めるために行われました。  また2体の人形を隣り合わせて、二人の良縁を願うという、 使い方もあったとのことです。 続いて考古学からみた人形を始めとする木製のおまつり道具について説明がありました。 人形や馬形、斎串は多くの出土例から、 時代とともに形の変化を知ることができます。 人形では頭や肩の形から、いくつかのまとまりに分類できるとのこと。 実は日本国内で最多の出土数を誇るのが袴狭遺跡群(豊岡市)です。 その一つである砂入遺跡の発掘調査について、写真や図で紹介がありました。 砂入遺跡は、そばで有名な豊岡市出

体験イベント「竪穴住居で古代体験」

当博物館に隣接する史跡・大中遺跡は、 弥生時代後期(1800~1900年前頃)のムラが保存された史跡公園です。 考古博物館では弥生時代のムラの様子を感じることができるよう、 復元した住居の修理や木々の伐採や枝の刈りこみなどを進めてきました。 より多くの方々に史跡公園を楽しんでいただこうと、修理を終えた竪穴住居を使って、 実際に火おこしや石包丁を使う体験ができるイベントを実験的に行いました。 次年度の本格実施に向けて11月の土曜限定でおこないました。 残念ながら今年度の予定はおわってしまいましたが、 これからの予告をかねて、どんな体験ができるのかレポートします。 住居の入口へ行くと、はじめに「参加料」を求められます。 でもお金ではなくて、公園内におちているドングリを2つください、とのこと。 「な~んだ!」 ド ングリを手に入口に戻ると、古代体験スタートです。 まず、どの木のドングリ(実)かを当てるクイズをしました。いろんな種類がありますね。 ドングリは古代には貴重な食糧でした。 大きい、小さい、細長い、丸い…同じ形は見つかったかな? 「参加料」を払ったら、そ~っと中へ入ります。 竪穴住居の中はけっこう暗くて、 目がなれるまでは何があるのか、ドキドキします。 目をこらしてよく見ると、部屋の左右に、弥生人がいました! みんな何をしているのでしょうか。近づいてみましょう。 太陽のほのかな明かりが入るなか、火おこしを体験します。 考古博物館では「毎日できる古代体験」として いつでも火おこしを体験していただけますが(夏場は休止している場合もあります)、 当時のように竪穴住居のなかで火おこしするのは特別です。 余計な火の気がこぼれぬよう、弥生人が注意しているので、 手にも気合が入ります。 石包丁を使って、紙を切る体験もしました。 型紙をなぞるようにして、切っていきます。 型紙は、シンプルな四角形から、当館らしい前方後円墳(鍵穴のカタチ)や、 ハートマークも用意しました。 石包丁は、曲線を切るのがむずかしいので、ハートマークは難易度が高いです。 ゆっくり時間

キネとウスでもちつき体験

今冬一番くらいのひんやりしたお天気の中、 ひょうご考古楽倶楽部主催の「もちつき」が体験広場で開催されました。 収穫した古代米などを使って、昔ながらのもちつきを体験。 初めての方から昔取ったキネヅカでさっそうと杵(キネ)を振り下ろす方まで、 多くの方に参加していただきました。 もちをつくる杵と臼(ウス)。杵は大小2種類用意しました。 まず、もち米をやわらかくするため、水につけたあとカマドで蒸します。 もちつきにはこの作業が欠かせません。 今回のもちつきでは、播磨産のもち米に、 秋に小学生が稲刈りをした古代米の一つ、壱岐の黒米を少し混ぜています。 どんな味のもちになるでしょうか。 臼をセットして、つく準備が完了したら、 程よく蒸しあがったもち米を中に入れます。 まず、杵でもち米をつぶしながらこねます。 この作業を怠ると杵をふる回数が多くなってしまうので、素早くこねます。 腰を入れて、振りかぶるようにして杵を振り下ろします。 上手くお米に当たらないと杵をにぎる手がしびれて痛いです。 もう一人は、臼の中のもち米をひっくりかえして、 うまくつぶれるようにリードします。 リズムを合わせて、二人の呼吸が大事です。 小さな子どもも体験します。 お父さんと呼吸を合わせて「エイっ」とつきます。 つきあがったおもちです。 壱岐の黒米がどんな色を出すのか楽しみでしたが、結構黒いおもちに仕上がりました。 あんこが入っているようなイメージですね。 つきあがったおもちは独特のネバリがあるので、 餅とり粉をたっぷりつけて手形を整えます。 冷めるとできあがりです。 できあがったおもちは、ぜんざいにして参加された皆さんに試食しました。 思ったより口当たりが滑らかで、柔らかいおもちに仕上がってました。 「おいしい?」「うんっ、おいしいィ~」 小さな子どもたちも喜んでくれました。 少し肌寒かったので、あったかいぜんざいが最高でした。 もうすぐお正月。もちを食べる機会が多くなります。 米を蒸して・ついて食べることは、古代から行われてきました。 今ではスーパ

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