9月27日、メインホール展示を入れ替えました。テーマは「丹波焼が出土した中世墓」で、丹波市の喜多(きた)中世墓群についての展示となります。
10月1日に開幕する秋季特別展「丹波焼誕生-はじまりの謎を探る-」に関連する展示です。
喜多中世墓群は、丹波市市島町の喜多集落東側の丘陵斜面に位置する中世墓群で、昭和58(1983)年に近畿自動車道舞鶴線の建設に先立ち発掘調査が行われました。
斜面を段状に造り出した3箇所の平坦部に総数44基の墓が設けられていました。出土した土器からみて、14世紀前半から後半にかけて次々と造墓されたと考えられています。
展示されている壺は、34号墓から出土したもので、浅く掘りくぼめた穴にすえられ、当初は石材で覆われていたようです。壺の中に火葬骨が残っていたので、蔵骨器として利用されていたと考えられます。
この丹波焼の壺は、還元色の強い青みがかった色調で、肩から上に緑色の自然釉が淡くかかっています。伝世品の丹波焼は赤みを持つ色調に自然釉が流れ落ちるような作品が多いのですが、それに比べると、だいぶ印象が異なるものです。
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丹波焼は日本六古陶の一つとして知られていますが、そのはじまりについては長らく謎に包まれていました。その解明のきっかけは、昭和52(1977)年に行われた丹波焼最古の窯の一つである「三本峠北窯跡」の発掘調査で、それまで周辺の窯跡では見つからなかった菊花文、連弁文などが刻まれた刻画文陶器が多数見つかったことです。
秋季特別展「丹波焼誕生-はじまりの謎を探る-」では、近年行った三本峠北窯跡の資料調査の成果をふまえて、他地域産の刻画文陶器も紹介しながら、刻画文陶器と丹波焼の成立について考えます。
秋季特別展は、10月1日(日)から11月27日(土)まで。メインホール展示と併せてご覧ください。
まだまだ暑いですが、10月になると秋らしい雰囲気に変わっていくことを願っています。
文化の秋は、考古博物館でお過ごしください。お待ちしております。