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宇山遺跡(洲本市)の現地説明会

秋を迎えて、県の各地で行われている発掘調査も、成果が明らかになってきました。
良い天気に恵まれた10月14日、宇山遺跡の現地説明会が開催されました。
 洲本市の市街地から洲本川を少しさかのぼったところにある遺跡です。
今年の7月から調査が行われ、平安時代中頃から鎌倉時代にかけての
集落跡が見つかりました。

絶好の?説明会日和。大勢の方が参加されました。
最初に、調査を担当する(公財)兵庫県まちづくり技術センターの担当者が、
調査で分かったことを大まかに説明しました。
平安時代から鎌倉時代の建物跡、墓、鍛冶炉跡などが見つかっています。

鍛冶炉跡のある場所では、掘り出された様子を詳しく説明しました。
炉跡の拡大写真で、地面が高い熱を受けて変色している様子が解説されました。
周りからは、鍛冶の作業に関連する遺物も出土していることから、
この遺跡には1000年ほど前に鍛冶屋が暮らしていた、とわかりました。
多くの建物は鍛冶炉より北側で見つかり、鍛冶屋は集落の外れにいたようです。

別の調査区では、弥生時代後期の竪穴建物跡が見つかりました。
調査の対象となったのは、建物跡のごく一部ですが、甕・高杯などが出土しています。

今回の調査では、縁に飛び出した部分が8つある「八稜鏡」が出土しました。
建物の柱穴から見つかっていて、地鎮に使われた可能性が考えられます。
このほかにも、鍛冶に関する遺物や当時生活で使われた土器の説明がありました。
*   *   *
ちょっと話題を変えて…「鍛冶」ってどんなことをするのでしょうか。
辞書には「金属を鍛えて、いろいろな器具を作ること、または作る人」とありますが、
詳しくは、鉱石から原材料となる金属を取りだす「大鍛冶」と、
取り出された金属の材料を高温で熱して、道具の形を作る「小鍛冶」があります。
発掘調査したのは「小鍛冶」で、真っ赤に熱して柔らかくなった鉄を、
金づちなどで叩きながら、形を作ってゆく…作業が行われていたようです。

鍛冶炉に風を送るフイゴの羽口(はぐち)や、椀の形に固まった鉄の不純物、
鉄の形を整える金床石(かなとこいし)や、仕上げに使う砥石などが出土しました。
また鉄を金づちなどで叩いた時に飛び散ったカケラが見つかっていて、
汗にまみれながら仕事をしている鍛冶屋さんの様子が伝わってくるようです。
説明会では、遺物を鍛冶の手順に沿ってご紹介。
みなさん、様子を思い描きながら、熱心に耳を傾けておられました。

*   *   *

 兵庫県内各地で、さまざまな遺跡を発掘調査しています。
お近くで、調査で分かった成果を現地で説明する「現地説明会」があるかも。
発掘調査の「ライブの迫力」をお届けできる機会です。
機会があれば、ぜひお出かけください。

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