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特別展関連講演会「但馬の王墓、池田古墳出土品を読みとく」


10月19日(土)、特別展講演会第一弾として、
「但馬の王墓、池田古墳出土品を読みとく」を開催しました。

特別展「埴輪の世界」でも展示物の中心を占める
池田古墳(朝来市)で出土した埴輪。
令和元年7月に、国の重要文化財に指定されました。
その特徴や重要性について、講演いただきました。

講師は、文化庁の横須賀倫達 文化財調査官。
全国各地を飛び回り、文化財の保存に最前線でご活躍されています。
池田古墳出土埴輪の重要文化財指定にあたっても、
埴輪が持つ意味の分析・調査に大変お世話になりました。

まず「重要文化財とは何か?」という話題。
国内の文化財のなかで、歴史や芸術、学術の観点から、
価値が高く保護すべき、と国が指定したものです。
審査で多くの専門家から「我が国の文化を代表する」と
認められることで、はじめて指定されるとのこと。

国の文化を代表する資料であることを、あらゆる観点から確かめる
調査は数年を要することも、よくあるそうです。
 池田古墳と一緒に指定された文化財や、これまで指定された兵庫県
にある重要文化財についても、ご紹介いただきました。


 ここからは、池田古墳の出土品について、説明いただきました。
 指定を受けたのは埴輪のほか、一緒に古墳に並んでいた木製品も。
埴輪は、保存状態がよかったことや、古墳で使われた場所・
使われた様子がわかることが、特に評価されました。

 水鳥形埴輪をはじめ、古墳を囲む濠から出土した遺物から、清らかな水を
「神聖なもの」としていた意識があり、埴輪や出土遺物から古墳の
おまつりがどのように行われていたか?がわかることも、価値の評価に
つながったと、紹介されました。

続けて、鳥の種類とかたどった考古資料から、古代の「鳥」に対する
イメージについて説明されました。
鳥をかたどった考古資料はおまつりの道具に多く、悪いものを「飛び去る」
存在ととらえられ、時代ごとにモデルの鳥も変化するとのこと。

最後に、次回の講演会に向けての予告編?、船形埴輪の意味や、
古代人の船に託した想いにも触れられました。
「考古資料を丹念に読みとくことで、作り・使った当時の人々の想いに
近づくことができる」と結ばれました。

*   *   *

終了後は、講師の横須賀先生が、展示を担当した学芸員と
展示品の解説をしてくださいました。
文化庁の方に直接説明いただけるのは、めったにない機会!
参加された方は、ラッキーでしたね!

担当学芸員も、見どころをご説明。展示のこぼれ話も飛び出して、
大勢の方が興味をもって聞いていただけました

特別展「埴輪の世界」の展示解説は、
11月3日(日)・12月1日(日)にも行われます。
奥深い埴輪の世界に触れたい!という方は、ぜひご参加ください。

*   *   *
また次回の講演会は10月27日(日)
「古墳時代の船」と題して、当館の中村 弘学芸課長がお話しします。
こちらもどうぞお楽しみに。

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