新年度が始まりました。それに合わせて今年で第6回(2025年度)となる「Kid’s考古学新聞コンクール」の受賞作品を展示しています。
今回、最優秀賞を受賞したのは、新潟県にお住まいの5年生の児童です。
そのタイトルは「黒曜石バトル新聞 長野県VS北海道」
この児童は“つるピカの石が大好き”で、そこから黒曜石に興味を持ったというのが新聞作成のきっかけだそうです。
黒曜石というのは、黒く輝く天然ガラス。日本の石器時代において最も多用された石材の一つで、火山岩が急激に冷却されるという特殊な条件下で形成されます。
国内では北海道や信州に大規模な原産地があるほか、隠岐や姫島(大分県)、腰岳(佐賀県)などの原産地も知られていますが、石材として利用された地域には偏りがあります。
黒曜石は蛍光エックス線分析により産地の同定が可能となっており、旧石器時代から縄文時代の石材流通と技法、ひいては集団の移動のようすがうかがえる資料として注目されています。
実はこの受賞者のお父さんとお母さんがその大規模産地となる信州、長野県と北海道の出身であるということから、記事が作り上げられました。
記事を作成するにあたり、単に本やネットの情報に頼るのではなく、実際に現場に訪れて体験までされている積極性が最優秀賞に選ばれた理由の一つではないでしょうか。
長野県の黒耀石体験ミュージアムを訪れて縄文時代の方法で矢じりを作製されたり、北海道の遠軽町埋蔵文化財センターでは旧石器時代のやり先を鹿角ハンマーを使って作製されています。
遠軽町は北海道の北東部、オホーツク管内にあり、なかなか観光客でも訪れにくいと思われますが、その行動力には驚かされます。
ちなみに兵庫県内では、黒曜石は但馬・播磨地域を中心に出土しており、後期旧石器時代の早い段階から細石刃文化期、さらに縄文時代早期以降からは量も増え、中期にピークを迎え、やがて後晩期になると著しく減少しています。大部分は隠岐産の黒曜石で、後半期以降には姫島産のものが流入していますが、それら以外の産地から供給された事例は確認されていません。
なお、瀬戸内沿岸部を中心とする西南日本では、二上山(奈良県)や金山(香川県)で産出されるサヌカイト(ややガラス質の安山岩)が広く利用されています。
そのような地域的理由から、当館の常設展示室には黒曜石ではなく、特徴の似ている「サヌカイト:とても硬くて割ると鋭利な形状になり現代の刃物のような使い方をされていた」で作られた万能ナイフ【石匙(いしさじ)】・石の矢じり【石鏃(せきぞく)】などを展示しています。
石器の材料【サヌカイト分解原石】
左側の大きな石が香川県から運ばれてきたサヌカイトの大型素材で、右側の石は佃(つくだ)遺跡(淡路市)出土の縄文時代後期の石器(削器)です。鋭利な形に加工されています。
今回、紹介した壁新聞は小学5・6年生を対象にしたクラスの作品でしたが、そのほかにも4年生以下を対象とした〈チャレンジの部〉というクラスがあります。
こちらの最優秀賞は「あおいの古墳体験新聞」
なんと「10か月で351か所の古墳をまわったよ」というコメントがありました。
恐るべき小学生たちの作品をぜひご覧いただきたいと思います。
今年は掲示している作品数も増えて全部で27作品となっています。
8月23日(日)までの展示を予定しています。
〈小学生のみなさんへおねがい!〉
このコンクールには第2回から4年連続で兵庫県からの入賞者がでていましたが、今回は入賞者なしという残念な結果となってしまいました。(明石市に考古学ファンの仲良し姉妹がいて、二人そろって活躍してくれていました。でも、お姉さんが中学生になったのでこのコンクールも卒業されてしまいました。もちろん、このお二人以外の入賞者もいますよ)
兵庫県は古墳の数、銅鐸の数が全国一です。そんな考古学の中心地のひとつである兵庫県立考古博物館で県内の方の作品を展示できないということはさみしい限りです。
是非とも次回(第7回)への挑戦をお願いします!
例年、9月の一か月間が募集期間になっています。その時に備えて下調べ・研究にお越しください。
夏休みの自由研究を兼ねてみてはどうでしょうか?