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企画展関連講演会「金銀銅の考古学を楽しむ」

暑い中にも秋の気配が感じられるようになりましたね。
ご紹介が遅くなりましたが、当館では今月8日に、
およそ半年ぶりとなる講演会を開催しました。

感染症対策として、定員を通常の半分(60名)の予約制とし、
検温やマスク着用、会場の換気はもちろん、交互に配置した指定席をつくるなど、
みなさんに安心して聴講いただけるように出来る限り対策を講じて再開に踏みきりました。

今回は「金銀銅の考古学を楽しむ」と題し、企画展を担当した当館学芸員の池田征弘が講師をつとめました。講師席にはアクリル板を設置しました。 

講演のはじめに、ナゼ金銀銅なのか?という話がありました。
お察しのとおり、本来なら開催されていた2020東京オリンピックに合わせた企画でしたが、それはそれとして、目に楽しい金銀銅の考古資料をご覧いただきたいと話しました。

次に金銀銅それぞれの特徴と、どう日本に伝わり、
使用されてきたかの歴史を解説しました。

私たち日本人がはじめて金銀銅などの貴金属を目にしたのは弥生時代のことで、
大陸(中国や朝鮮半島)から中期には銅(青銅)でつくられた武器や鐸、鏡など、
後期には弥生時代唯一の金製品である「漢委奴国王」の金印が伝わり、
北九州(福岡県比恵遺跡と佐賀県惣座遺跡)では銀製の指輪も出土しています。


近年兵庫県内での調査例が増えてきた近世鉱山遺跡の出土品の紹介もありました。
展示のイチオシは猪渕谷坑道群間歩ケ谷支群(猪名川町)から出土した、銅の採掘や精錬に使われた道具類です。見た目は地味ですが、近世の技術を知る上で貴重な資料です。
 



*   *   *

9月以降の講演会も、予約制で申込受付中です。
当館ホームページの【講座・体験講座申込みページ】の予約フォーム、
もしくは往復はがきでお申込みください。※応募多数の場合は抽選となります。

往復はがきでお申込みの方は、①開催日・講演会名、②住所、③氏名、④電話番号(当日連絡のつく番号)を記入し、当館までお送りください。(講演会ごとに1名につき1枚、受付期間終了日必着)
 〒675-0142 兵庫県加古郡播磨町大中1-1-1
 兵庫県立考古博物館 学芸課 宛て


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