(ほったん)
将来の館長候補としては、考古博物館の分館「古代鏡展示館」についても、しっかりと勉強しておく必要があるので、今日は加西市までやってきたよ。
分館には名前のとおり古代中国鏡がたくさん展示されているけれども、実は鏡以外にも数々の美術工芸品があるんだ。
「たからもの」なんて、世界の海を駆け巡る海賊の気分だよ。
(分館の課長さん)
誰だい?館の玄関口でブツブツ言っているのは?
『失礼な!私を誰と心得る! 将来の館長候補「ほったん様」だ。』
と言いたいところだけど、まだ自分で名乗ってるだけなので、低姿勢でいこうっと。
こんちわ~ 春季企画展を見に来ました!(元気よく)
これはこれは、観に来てくれたんだね。どうぞなかに入ってください。受付に大きな拡大鏡も置いているので、観察のために持っていくといいよ。
ほー。これがおたからか。いろんな形の変わった器が並んでいるぞ。
こちらには青銅から金・銀などの金属を原材料として、鋳造(ちゅうぞう)や鍍金(ときん)などの高度な技術により作製された工芸品を展示しているよ。
スゴイことはわかるけれど、高度な技術の意味が分からないよ。
ゴメンゴメン。金属の加工方法なんだけれど、鋳造は金属を溶かして型に流し込む方法、鍍金は金属の表面を別の金属の薄い膜で覆う方法で一般的にはメッキと呼ばれているよ、また、鍛造(たんぞう)といって叩いて形を整えていく方法もあるよ。
こちらの左側の作品は扉の取っ手なんだけれど、金の鍍金処理がされているよ。ここでは金を水銀に溶かし、それを塗ってから過熱し、水銀を蒸発させて金だけをきれいに表面に定着させているんだ。
へ―そんな難しい技術を良く考えついたもんだね。
日本でも奈良県にある大仏さんは当初はその技術を使ってたので金ピカだったんだよ。
そーなんだ、金ピカの大仏さん見てみたかったな。
ただ、水銀を使っているので、作業していた人が水銀中毒で被害にあったという悲しい一面もあるんだ。
工芸品づくりも命懸けだね。
次の作品は獣面紋 斝(じゅうめんもん か)という青銅器の器で、こちらは鋳造で作られているんだ。
さすがに宝ものだけあって、名前も難しい漢字ばかりで意味が分かんないや。でも、面白い形をしているね。
これは中国の商(殷)という時代(紀元前17~11世紀頃)に王が行う儀式の中で酒を温めるのに用いられた器なんだよ。
え~っ! 紀元前11世紀といえば、日本では縄文時代・・ そのころにこれだけの製造技術があるなんて。ビックリ!
隣にあるのは蟠螭紋 鼎(ばんちもん てい)。王が行う儀式の中で肉のスープを温めるのに用いた器なんだ。
細かい紋様があるので拡大鏡で覗いてごらん。
すんごく細かい模様だね。
この蟠螭紋というのは古代中国の青銅器などに見られる装飾紋様で、幼い龍である「螭(ち)」がとぐろを巻くような姿「蟠(ばん)」で表現される紋様なんだ。漢字の意味が分かれば、とてもシンプルなネーミングなんだけどね。
龍にも子どもの頃があったんだね。
こっちのへんてこりんな生き物はな~に?
これは辟邪(へきじゃ)」という想像上の獣で、角が生えていて全身が鱗(うろこ)で覆われているんだ。怖そうに見えるけれど、悪霊を退ける「魔除け」(邪を避ける)として用いられたんだ。
なるほど、よく見るとカワイイような不思議な顔をしているね。でも、可愛さでは断然ボクの方が上かな。
そうなんだ。でもさっき言ったように
なんか雰囲気が悪くなってきたぞ。
じゃあ そろそろお客さんが増えてきたから、ボクは隣の第2展示室に行こ~と。