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現地説明会レポート「現れた江戸時代の町並みー兵庫津遺跡(神戸市兵庫区)」


 兵庫県教育委員会からの委託で、(公財)兵庫県まちづくり技術センター埋蔵文化財調査部が発掘調査を実施している兵庫津遺跡で、11月14日(日)に現地説明会が実施されました。
 今回の調査では、江戸時代の町の一部が見つかっています。兵庫津については絵図がいくつか残されており、見つかった町並みは「新在家町水帳絵図」(1836年)に描かれたものに概ね一致しています。

(東西方向の街路)
(南北方向の街路)
 
 町並みは大きく、東西方向と南北方向に走る街路によって区画されており、今回の調査でこれらの街路が江戸時代から明治時代まで踏襲されていたことが判りました。

(火災に遭った町屋)
 
 町家は細長く区画され、建て替え・補修が何度も行われた結果、何層にも重なっています。赤く焼けた区画も見つかっており、火災に遭った痕跡と考えられます。

(本陣と考えられる区画)
(出土した輸入磁器)
 
 調査区の南側には大きな区画がひとつ認められます。輸入磁器や茶臼が出土するなど町家とは遺物の内容が異なります。絵図では空白になっていたのですが、文献史料にも当たった結果、「本陣」が置かれていた部分に当たると考えられます。兵庫津は江戸時代を通して栄えた港町であるため、西国諸藩や朝鮮通信使などが利用する格式が高い宿泊施設が置かれていたのでしょう。

(発掘作業の様子)
 
 なお、今回の調査地点とその隣接地には、初代県庁を復元した「初代県庁館(仮称)」、兵庫県の歴史・文化・産業を紹介・展示する「ひょうごはじまり館(仮称)」がそれぞれ令和3年度と令和4年度にオープンする予定です。詳しくは兵庫津ミュージアム整備室のページをご覧ください。

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