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観音霊場巡りの寺院跡?-企画展の見どころ-

1区 石垣の調査風景



現在、企画展 「ひょうごの遺跡 2014-調査研究速報-」を開催中です!

ブログで、見どころを随時ご紹介しています。
今回は、兵庫旧五国の播磨国 現在の猪名川町にある「観音寺跡」です。


~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~* ~*~*~*展覧会の概要~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*

平成24年度に当館が刊行した20冊の発掘調査報告書の中から、代表的な遺跡を選び、報告書にまとめられた調査成果を展示します。

さらに、平成25年度に行った最新の発掘調査成果の速報展示、当館ボランティアを中心とするひょうご考古楽倶楽部の活動紹介の展示も併せて行います。

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観音寺跡は、川辺郡猪名川町広根の丘陵上に広がる遺跡です。
近世の寺院跡や中世末から現代まで継続した墓地、中世後期の造成地や火葬墓地が見つかりました。

< 中世後期の造成地 >

尾根下の斜面より出土
龍泉窯系青磁蓮弁文碗、備前焼擂鉢
尾根下の斜面には平坦な部分が2箇所ありました。山裾に石組みの排水溝を巡らせており、そのほか素掘りの井戸を確認しました。遺物は15世紀代の青磁椀や瓦質風炉(ふろ)、小柄などが出土しています。
一般庶民の住居とは考えにくく、寺院の可能性もあります。


< 尾根上の中世末以降の墓地>

中世末(16世紀)から現代まで続いた墓地には、銭やキセルなどの金属器や陶磁器などが副葬されていました。

2区 近世墓から出土 鳩笛

2区 近世墓から出土 寛永通宝など

<近世・近代の寺院>
 南向き斜面の下の平坦面からは、石垣がみつかりました。もっとも高いところで3メートルにのぼります。(冒頭写真 参照) 近世の寺院跡と考えられます。
 この遺構は、江戸時代の多田庄三十三所 観音霊場巡りのうちの第6番札所「陀華山(だっかさん) 観音堂」の可能性があります。


今回掲載した観音寺跡出土の遺物については、本展の速報展示スペースでご覧いただけます。



本企画展の学芸員による展示解説も行っています。会期中の毎週日曜日13時30分から14時です。

↓↓ 本企画展の詳細はこちら ↓↓

ぜひご来場ください!!

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