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メインホール展示 サヌカイトの石材と石器

令和4年3月1日に、無料ゾーン中央にある「メインホール展示」の展示替えをしました。 今回は、4月23日開幕の春季特別展「 弥生集落転生―大中遺跡とその時代 ― 」に関連して、玉津田中遺跡(神戸市西区)から出土した、サヌカイトの石材と石器を展示しています。 サヌカイトは打撃によって鋭い刃をつくり出すことができるため、旧石器時代から弥生時代の終わり頃まで、石器の材料として近畿・瀬戸内地域を中心に広く流通していました。 後列:大型板状剥片(いたじょうはくへん)2点、 前列:左から石錐(せきすい/いしきり)4点、石鏃(せきぞく/やじり)5点、打製石包丁3点 展示している幅30cm以上もあるサヌカイトの大型板状剥片は、香川県産で、重さ2~4キロもある大きな石材のまま瀬戸内海を運ばれてきました。 こうした石材を集落のなかで、鏃、錐、石包丁など、さまざまなものに加工して使っていました。しかし、弥生時代の終わりごろになると、石器にかわって鉄器が普及していきます。春季特別展では、このように大きく物流の変化がおこった時代を紹介します。 このメインホール展示は4月30日(土)まで、2か月間ご覧いただけます。 どうぞお気軽にお立ち寄りください。 < 動画公開のお知らせ > 今回の展示にあわせて、当館YouTubeチャンネル「ひょうごこうこはくチャンネル」に、動画「 打製石器をつくる 」をアップしました。 動画を視聴いただければ、石器の魅力をより深く味わっていただけると思いますので、こちらもぜひご覧ください。チャンネル登録もよろしくお願いします!

古代体験講座 古代の織物に挑戦

 令和4年2月20日(日)に、古代体験講座「古代の織物に挑戦」を開催しました。  (今回使う道具) 原始機(げんしばた)あるいは弥生機といわれる機織具で、機織り体験をしていただきました。 三角柱の道具(開口具)で、1本おきに上下にわかれている「たて糸」に隙間を作ったら、 たて糸の間にシャトル(緯越具:よここしぐ)に巻いた「よこ糸」をくぐらせます。 糸が通ったら、「緯打具(よこうちぐ)」でよこ糸を手前に引き寄せて、トントンと打ち込み、また奥へ戻します。 戻したら、たて糸を1本おきにつりあげている「綜絖(そうこう)」で上下のたて糸を入れかえ、先ほどとは反対の方向からシャトルを通します。 このたて糸を入れかえ、シャトルでよこ糸を左右に通す動きを、何回も何回も、根気強く繰り返します。糸をひっぱる力加減を一定にするのが、まっすぐに織るコツです。 織り上がったら、機織具から取り外し、糸の端をハサミで切り取ります。 ほどけないように、端を結んだら、完成です! 今回体験していただいた織り方や機織りの道具などの構造は現代と同じです。 弥生時代にもうこのような方法があったとは驚きですね。

古代体験講座 チョコと金属の鏡づくり

令和4年2月13日(日)に、古代体験講座「チョコと金属の鏡づくり」を開催しました。 「なぜ、この2つの材料で鏡をつくる企画が生まれたのか?」と言うと、実はこの2つ、作る手順がおんなじなんです! 大まかな工程は4つ。①材料を溶かす、②それを型に流し込む、③冷やし固める、④削ったり磨いたりして整える、の順です。 今回の講座ではまず、食用シリコン製のオリジナル型を使って古墳時代の銅鏡をデザインしたチョコレートをつくり、それを冷やし固めている間に低温で溶ける合金で鏡をつくりました。 <チョコレートの鏡づくり> (チョコレートを流し込む食用シリコン製の型と、見本の「金属の鏡」) 最初にチョコレートを溶かします。お湯の入ったボウルの上に、細かい粒状のチョコを入れたボウルをのせて、静かに混ぜながら湯せんして溶かします。美味しそうな甘~い香り! チョコがなめらかに溶けたら、そっと型に流し込みます。余分な空気が入らないように、ゆっくり入れるのがコツです。 型をそっと持ち上げて、トントンと台に軽く打ち付けて、更に空気を抜き、隅々までチョコが行き渡るように調整します。 タッパーに並べたら、あとは冷蔵庫で2時間ほど冷やし、固まるのを待ちます。 <砂型でつくる、金属の鏡づくり> 最初に、溶かした金属を流し込むための型(鋳型/いがた)をつくります。 水を混ぜてほどよい柔らかさにしておいた砂を、まるい枠のなかに詰め、棒で押し固めます。 砂型に元型を埋めてくぼみを作り、はずしたら「鋳型」の完成です。この鋳型がきれいに作れていると、紋様がハッキリした鏡が作れます。 当館ボランティアのサポートのもと、溶けた金属を鋳型へ流し込みます。熱い金属が飛び散る危険があるので、十分に注意しながら行います。 「ほら、まるでさっき作ったチョコレートみたいでしょ。(銀色だけど・・・)」 チョコレートと同じように、すみずみに金属が行き渡り、気泡が残らないように周りをトントンと叩きます。 手でさわれる温度に下がったら、鋳型から鏡をはずし、鏡の周りのはみ出した部分(「バリ」といいます)をペンチで切り取ります。そのあと、ハサミやヤスリを使って細かく形を整えます。 さらに、鏡の表面(顔をうつす方)をピカピカになるまで磨きます。 金属の鏡、完成です! *   *   * 金属の鏡を2時間かけて作っている間に、冷蔵庫に入れていたチョ...

講演会「本をつくる仕事、こぼれ話」

 博物館で、本をつくる仕事?って思われたでしょうか。   報告書や展覧会図録、その他、結構あるんですよ。     今回の講師は、発掘調査などの仕事をしながら、本づくりにも長年関わってきた当館の菱田淳子学芸員です。  2年前に予定されていた講演会ですが、新型コロナウイルス感染症の影響で、延期になっていましたが、今回やっと実現しました。   作成する「本」の一部を紹介します。  発掘調査を行うと、出土品の整理や保存、そしてそれらを公開して活用するなどいろんな作業があります。それら発掘調査の「記録を保存」するためのものが『文化財発掘調査報告書』で、年度末に毎年刊行しています。文化財調査の成果物で、貴重な資料となるものです。兵庫県では現在517冊を発行しています。  印刷部数は300部でしたが、阪神・淡路大震災以降に広く情報を発信するため、500部に増やした時期もあったそうですが、現在は300部です。  発掘調査報告書は、堅牢にするため、分厚くなると製本は「糸かがり」という方法で行っていました。最近は無線綴じといういわゆる一般の書籍や雑誌のような方法で行ってますが、糸かがりはコストも高く、手間がかかり、最近は印刷業者でも対応できないところが増えたそうです。  文化財発掘調査報告書と関連して刊行するのが『兵庫県遺跡地図』です。A4版が「発掘調査の手引き」で、埋蔵文化財についての基本的な考え方と取扱いの基準、関連法令、遺跡地名表などで構成されています。  A3版の大きい方が「遺跡分布地図」で、埋蔵文化財包蔵地等の位置や範囲を示した地図編です。  上の写真は、遺跡分布地図の印刷原稿(版下)作成に必要なトレース作業について、実際の見本を提示して説明しているところです。   1980年頃から版組はアナログ機器(活字や和文タイプライター)からデジタル機器(ワープロやコンピュータ)に移行し、とても便利になりましたが、印刷業界のパソコンはマッキントッシュ(Macintosh)が扱いやすく主流だったのに、官公庁はウインドウズ(Windows)だったので、データのよりとりがちょっとやりにくかったそうです。  春と秋の特別展の『図録』の編集も行います。図録は展示資料の写真撮影に多く時間を使います。写真は、当館地下にある写真撮影専用の写真室で撮影します。街の写真スタジオに匹敵する...

古代体験講座 古代の木製農耕具を作って使おう

令和4年2月6日(日)、古代体験講座「古代の木製農耕具を作って使おう」を開催しました。 弥生時代の米づくりに使われた「木包丁」(きぼうちょう)と「竪杵」(たてぎね)をナイフで木を削ってつくった後、その道具を使って穂摘みや脱穀の体験をしていただきました。 はじめに学芸員が、当館に展示している資料などを紹介しながら、古代の農耕について解説しました。木包丁(正しくは木製穂摘具)は、石包丁(正しくは石製穂摘具)と同じく穂摘みをする木製の道具で、竪杵は、臼とセットにして脱穀(だっこく:稲穂からモミを外す作業)に使う道具です(おもちをつく道具ではないですよ)。                兵庫県で出土している弥生時代終わりから古墳時代の竪杵の樹種は、カシやツバキ、コナラ、クヌギ、木包丁はクヌギ、ヤマグワが多いんですって。今回の講座では、竪杵はコナラ、木包丁はケヤキでつくりました。 <木包丁> 木目によって刃がギザギザとなるよう、特徴的な木取りによって板材をつくります。それに紐を掛ける孔を2つあけます。 溝をほり、石器のキリで穴をあける 刃をつける 孔のところに溝があるのが石包丁とちがうところ 竪杵と臼でもみすり(モミをもみがらと玄米に分離) 箕(み)に入れて風選(風の力でもみがらを飛ばす) 現代は、ここからさらに玄米を精米して、白米にします。 奈良時代には「米」「白米」「黒米」「赤米」「糯米(もちごめ)」「酒米」「飯米」「粥米(かゆごめ)」と表現された米の種類、あるいは米の精米状態があったことが、出土した木簡(木の札)からうかがえます。

古代体験講座 見て、さわって、土器をつくろう

古代体験講座「見て、さわって、土器をつくろう」を開催しました。 本物の弥生土器を間近で見て触っていただいたあと、それを手本に土器をつくっていただこうという、博物館ならではの講座です。 今回は、玉津田中遺跡(神戸市西区)から出土した弥生土器をお手本にしました。講座の最初に、形や厚み、文様などをじっくり観察していただきました。 ( 弥生時代中期の広口壷(ひろくちつぼ)) そのあと土器にさわって、質感や重さを体感していただきました。 持ち上げた土器は、想像より軽かったですか? それとも重たかったでしょうか? 古代の職人の技を見て完成のイメージをふくらませたあとは、いよいよ土器づくりのスタートです。粘土をひも状にして、積み上げながら形を作っていきます。 ときどき定規をあてて図面と照らし合わせ、寸法を確かめながら進めていきます。 頸部(けいぶ/口縁部と胴部のあいだのくびれた部分)も、しっかりと作りこみます。 形が整いました。「どうですか?」「いい感じ!」明るい声がとびます。 最後に文様をつければ、完成です! 今回つくった土器は約2週間乾燥させたあと、 博物館の窯で焼きあげてお渡しします。 これからも楽しい講座を企画していきますので、ご期待ください。

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