スキップしてメイン コンテンツに移動

講演会②「賀古駅家と邑美駅家を語る」

 


講演会「播磨の駅家を語る」シリーズ全4回の第2弾になります。

講演は、それぞれの駅家の発掘調査を担当した中村館長補佐が賀古駅家(かこのうまや)を、中川学芸員が邑美(おうみの)駅家について解説を行いました。



賀古駅家(加古川市野口町)は印南野台地の西端に位置し、様々な古文献から古大内遺跡がその駅家であると注目されていました。

平成19年に当館は開館しましたが、まず取り組むべき調査研究事業として「古代官道と駅家」が決定すると同時に、最初の発掘調査対象として賀古駅家が選定されました。

当館にとっても大事な駅家となっています。

 



古代官道の駅家に備えられる馬の数は重要度により520頭と定められていますが、この賀古駅家にはなんと40頭の馬が備えられていたということが、平安時代の文献『延喜式』に記されています。

全国一のものが私たちの近くにあるということで、もっと注目されてもいいのではないかと思いました。

         


邑美駅家(明石市魚住町)は印南野台地の東端に位置し、崖上から南東方向の明石駅家に延びる山陽道を見下ろせる、駅家としてまさに好適地に立地しています。





この遺跡は、当初地形図を作成していたところ、水田の畦の方向がこの部分だけ違う東-西、南-北の方向に向いていたため、周辺をレーダー探査で地下の調査を行った結果、畦の内側に明瞭な輪郭が確認され、それを基に発掘調査を行うこととなりました。

 


発掘してみると大量の瓦片が出土しました。このことから駅家には瓦葺きの立派な建物群が存在していたと考えられます。駅家を利用できるのは駅鈴を携えた使者のみであったことから、海外からの賓客に対して、我が国日本でもこのような施設を作る国力があるということを示したかったのでしょう。




講演会「播磨の駅家を語る」シリーズも半分が終了し、残り2回となりました。

まだ、2回とも申込みが可能ですので、ご興味のある方はご参加ください。ただし、第③回は既に申込期間を過ぎているため先着順での受付となります。ご了承ください。 

 10月21日(土) 播磨の駅家を語る③「高田駅家と大市駅家を語る」   先着順

 11月25日(土) 播磨の駅家を語る④「出土遺物からみた山陽道の駅家」 申込11/7まで



このブログの人気の投稿

あなたは縄文人? 弥生人?

人の顔形はさまざま! 顔の輪郭、髪の毛、眉の形、目・まぶた・鼻・口の形は各人ちがいますが、 これらのパーツも縄文人に多い形、弥生人に多い形があります さて、あなたは 縄文人? 弥生人? まずは「自分の顔をつくってみよう」 縄文顔:四角い顔、太い眉、どんぐりまなこ、二重のまぶた、広がった鼻、分厚い唇、毛深い 弥生顔:面長顔、細い眉、切れ長の目、一重のまぶた、小さな鼻、薄い唇、ひげが薄い まず自分の顔をつくってみましょう これらのパーツをつかって・・・ 自分の顔をつくってみましょう そして、左のページを持ち上げ、右の顔に被せるように折りたたみます そして開いてみると 左に顔が移りましたが、 緑 と 橙色 のパーツに 緑は縄文人 橙は弥生人 各パーツが混じっています 現代人は 縄文人的な要素 と 弥生人的要素 が混じっているのです。 中国大陸や朝鮮半島などから各時代に渡来し、混血し、今の日本人になったと考えられます 「自分の顔をつくってみよう」 は 考古博テーマ展示室「人」のコーナーにあります 是非自分の顔をつくって、試してみてください!

明石駅・西明石駅のむかし

特別展「鉄道がきた!ー舟運・海運・馬車道・鉄道ー」 写真展 協力:西日本旅客鉄道株式会社神戸支社 明石駅・西明石駅のむかしの写真があります 明石駅・西明石駅のむかし 昭和9年の明石駅 昭和30年代前半の明石駅 昭和39年の明石駅 昭和47年の西明石駅(新幹線) 西明石駅の在来線と新幹線(昭和47年) 大阪ー神戸間開通140年記念写真展 是非ご覧ください 【お知らせ】 11月1日(土)10:00~16:00 兵庫県立考古博物館とその周辺を会場に 全国古代体験フェスティバル 2014を開催 雨天決行! ---------------------------------------------------------------------- 大阪ー神戸間開業140周年記念写真展 協力:西日本旅客鉄道株式会社神戸支社 11月30日(日)まで 1階エントランスホール ---------------------------------------------------------------------- 次回の特別展講演会 11月8日(土)13:30~15:00 「山陰山陽連絡鉄道敷設計画と播磨・境ルートの検証」 小西 伸彦 (吉備国際大学外国語学部准教授) ---------------------------------------------------------------------- 11月15・16日(土・日) 15日:12:00~15:30 16日:10:00~15:30    ミニSLやミニ特急列車に乗ろう!(ミニ鉄道走行会)    協力:OSライブスティームクラブ 兵庫県立考古博物館 体験広場にて    ※別途観覧券要・開始30分前から整理券配布・お一人様2回まで    ※小雨決行(天候により中止になる場合があります)。 駅そば・駅弁販売     ~駅弁の掛け紙は復刻デザイン!~    姫路名物駅そば、駅弁

#自宅でも考古博 23 「型式の移り変わり」

  当館では考古学の成果だけではなく、考古学での「考え方」についても、さりげなく展示しています。東エントランスを入ったところにある「ときのギャラリー」もそうですが、「発掘ひろば」にもそうした展示があります。  「発掘ひろば」の左奥、壁に丸い水筒のような須恵器が四つ並んでいます。これは古墳時代の「提瓶」(ていへい)と呼ばれる須恵器で、型式の移り変わりを実感していただくための展示です。  考古学では、型式の移り変わりを考える際にポイントとなる「ルジメント」という考え方があります。もともとは生物学の用語で、日本語では「痕跡器官」となります。例えば、人の尾てい骨のように、昔は機能していても、現在は退化して、痕跡のみとなっている器官の事です。  提瓶はこの「ルジメント」が判りやすいものですが、それにあたるのはどの部分でしょうか? 提瓶の型式変化    肩の部分に注目してください。右から丸い輪が両方についているもの、輪ではなく鉤状の突起が付いているもの、ボタン状になっているもの、何もついてないものと変化しているのが分かると思います。  これは提げるための紐を結ぶための部分が、その機能が失われることによって、時期が新しくなるにしたがって、退化していくことを示しています。つまり、展示でいうと右から左にかけて、型式が新しくなるということです。  でも、変化の方向としては「提げるという機能が追加されていくという変化(左から右)でもいいのでは?」というツッコミが入りそうです。実は高校の授業で提瓶を使って、ルジメントの説明をしたことがあるのですが、2回の授業とも生徒の圧倒的多数がそういう意見でした。  では、変化の方向を決めるのは何かを再度考えてみます。機能が追加されていく方向に変化するのであれば、紐がひっかけられないボタン状の段階は必要ありませんよね。したがって、型式が変化する方向は右から左ということになるのです。  ルジメントについて、何となくわかっていただけたでしょうか?実際の型式変化については、ルジメントだけではなく、層位学の考え方(古いものが新しいものより深い地層から出土する)なども加味しています。この考え方についても、「発掘ひろば」で紹介していますので、ご確認ください。  ところで、提瓶の変化はどうして起こるのでしょうか?

過去の記事一覧

もっと見る