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講演会「イアン・ホダー著『過去を読む』を読む」

2月25日(土)、シリーズ講演会・兵庫考古学研究最前線2022 第5弾、「イアン・ホダー著『過去を読む』を読む」を開催しました。


講師は、当館の鐵 英記埋蔵文化財課長です。
当館では珍しい理論考古学の講演会で、英国考古学会の権威として知られるイアン・ホダーの名著を基軸に、考古学者が過去を読みとく際のさまざまな考え方をご紹介しました。


ホダーの著書『過去を読む』では、
「考古学では土器などモノの変遷などを見て、時代や地域、文化などいろいろな違いを調べていくが、『なぜ変化するのか?』という点は弱い。その “なぜ” を考えよう」と説いているとのこと。


そして、それを踏まえて鐵課長は、何事にも固定観念を持たず、“なぜ“  “これで合っているのか” と少し疑って考えてみることも大事だとし、
「例えば、昔の人にとって土器とは何だったのか。今の人が昔の人のことを想像して煮炊きや貯蔵などに使ったと考えているが、必ずしも現代とイコールではないはず」と話しました。


また、「昔の生活における男女間の仕事の分業はどうであったか? という疑問点については、ホダーによると、考古学者が『現在の男女分業を過去に投影して見ているのではないか』とのこと。当館のテーマ展示室にも、その傾向が見られるので、展示をご覧になる際には考えてみてください」と話しました。


今後は、もっと現代の主観にとらわれない説があってもよい。
そこから見つかる今後の研究が楽しみだ、と講演を締めくくりました。

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