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メインホール展示「お祭りに使われた 須恵器の器台」

3月1日、メインホール展示ケースの展示替えをしました。



今回は、4月22日(土)から開催する春季特別展「古墳時代の技術革新」開催に先駆けて、若王寺遺跡(なこうじいせき/尼崎市)出土の器台を展示しています。



(展示替えをする学芸員)


 若王寺遺跡は、尼崎市の猪名川水系の右岸に立地する集落遺跡で、古墳時代中期にはここで鉄器生産を行っていたことが、出土した多量の鉄滓・フイゴの羽口などから分かります。この時代には、金属加工以外にも、農業生産・土木工事など、社会生活のあらゆる分野にまたがる新しい技術が渡来人によって大陸からもたらされ、人びとの暮らしが大きく様変わりしました。


(展示中の器台)

窯を使って焼かれた須恵器もその1つで、展示した器台は、窯業生産の技術が日本に伝わってから半世紀も経たない頃のものです。大きな椀形の受け部に、透かしの入ったスカート状の脚部がついた大型品で、古墳や集落での祭祀の場面で使われ、写真のように壺を乗せて、供物を捧げたのでしょう。須恵器のルーツとなる朝鮮半島の陶質土器の名残りが十分に感じられる優品です。
若王寺遺跡には、渡来人にルーツをもつ技術者集団が暮らしていたのかもしれません。


(展示パネル)

春季特別展「古墳時代の技術革新」では、当時の最先端の技術で作られた製品や、新しい生活様式を示す出土品などをご覧いただきますので、どうぞご期待ください。




特別展に関する詳しい情報は、
当館ホームページをご覧ください。


  

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