スキップしてメイン コンテンツに移動

体験講座「古代のガラスアクセサリーづくり」

古代の人々が暮らしの中から生み出した技や工夫を、
わかりやすく、楽しみながら学ぶ“古代体験講座”。
今回は「古代のガラスアクセサリーづくり」に挑戦していただきました。

ガラスまが玉は日本では、弥生時代の中ごろ(2000年前)には製作されていました。
当時はまが玉や管玉といったさまざまな玉類や腕輪なども作られていたことが出土品からわかります。
火を高温にして、溶かした原料を鋳型に流して固める作り方は、青銅器などと共通します。
当館職員が、ガラスや、ガラスまが玉の歴史について解説したあと、
今回もサポートしてくださるボランティアの皆さんから作業手順の説明を受けます。


最初に、ガラスを入れる「鋳型」をつくります。
粘土を写真手前の板で押さえて一定の厚さにしたあと、魚の形をした木型を埋め込みます。
しっかり埋め終わったら余分なところをカットし、木を外します。


後で自分のものだと分かりやすいように粘土の裏側に目印をつけたあと、
魚の目にあたる部分に穴をあけます。
最終的に、穴にひもを通してネックレスに仕上げるため、
ふさがらないように注意します。

外に出て、粘土を炉で焼き固めていきます。焼成時間は約20分です。
ふいご代わりにドライヤーで風を入れながら、炉のなかを700度を超す高温に保ちます。
蓋を外したとき、茶色い粘土が焼けて真っ赤になり、
透き通るように見えていたら、焼き上がりです。

ヤケドをしないように、そ~っと取り出して冷まします。
鋳型が冷めたら、ガラスをのせる際に安定するように裏面にやすりをかけたり、
白い離型剤を塗って仕上げていきます。

この時、再び魚の目の部分が埋まってしまわないように、
粘土ひもで穴を確保したりと気をつけて作業します。

離型剤が乾いたら、粒ガラスを置いていきます。
焼成時にひっぱられるので、両端にガラスをたくさんのせるのがコツです。

もう一度外に出て、炉のなかに型を並べ、
いよいよガラスを焼成していきます。

青かったガラス粒が、焼けて真っ赤になり、徐々に冷めていく間は緑色になり、
完全に冷めると鮮やかな青色に戻るという、ガラスの色の変化もこの講座の見どころのひとつです。

焼きあがったら、消石灰に埋めて冷まします。
冬場でも1時間は寝かしておかなければなりません。
講座では、この間に昼休憩をとっていただきました。

1時間以上経ちガラスが完全に冷めたら、やすりなどで表面を整え、
目の部分にヒモを通せば、ネックレスの完成です。

「こんなにきれいな、ガラスのアクセサリーができたよ!」
長時間の作業、おつかれさまでした。

*   *   *

今年度の古代体験講座はこの回で終了ですが、
来年度も魅力的な古代体験をしていただけるようにと、
現在、試案・試作しています。

スケジュールがきまりましたら、当館ホームページでお知らせしますので、
どうぞお楽しみにお待ちください。


このブログの人気の投稿

あなたは縄文人? 弥生人?

人の顔形はさまざま! 顔の輪郭、髪の毛、眉の形、目・まぶた・鼻・口の形は各人ちがいますが、 これらのパーツも縄文人に多い形、弥生人に多い形があります さて、あなたは 縄文人? 弥生人? まずは「自分の顔をつくってみよう」 縄文顔:四角い顔、太い眉、どんぐりまなこ、二重のまぶた、広がった鼻、分厚い唇、毛深い 弥生顔:面長顔、細い眉、切れ長の目、一重のまぶた、小さな鼻、薄い唇、ひげが薄い まず自分の顔をつくってみましょう これらのパーツをつかって・・・ 自分の顔をつくってみましょう そして、左のページを持ち上げ、右の顔に被せるように折りたたみます そして開いてみると 左に顔が移りましたが、 緑 と 橙色 のパーツに 緑は縄文人 橙は弥生人 各パーツが混じっています 現代人は 縄文人的な要素 と 弥生人的要素 が混じっているのです。 中国大陸や朝鮮半島などから各時代に渡来し、混血し、今の日本人になったと考えられます 「自分の顔をつくってみよう」 は 考古博テーマ展示室「人」のコーナーにあります 是非自分の顔をつくって、試してみてください!

明石駅・西明石駅のむかし

特別展「鉄道がきた!ー舟運・海運・馬車道・鉄道ー」 写真展 協力:西日本旅客鉄道株式会社神戸支社 明石駅・西明石駅のむかしの写真があります 明石駅・西明石駅のむかし 昭和9年の明石駅 昭和30年代前半の明石駅 昭和39年の明石駅 昭和47年の西明石駅(新幹線) 西明石駅の在来線と新幹線(昭和47年) 大阪ー神戸間開通140年記念写真展 是非ご覧ください 【お知らせ】 11月1日(土)10:00~16:00 兵庫県立考古博物館とその周辺を会場に 全国古代体験フェスティバル 2014を開催 雨天決行! ---------------------------------------------------------------------- 大阪ー神戸間開業140周年記念写真展 協力:西日本旅客鉄道株式会社神戸支社 11月30日(日)まで 1階エントランスホール ---------------------------------------------------------------------- 次回の特別展講演会 11月8日(土)13:30~15:00 「山陰山陽連絡鉄道敷設計画と播磨・境ルートの検証」 小西 伸彦 (吉備国際大学外国語学部准教授) ---------------------------------------------------------------------- 11月15・16日(土・日) 15日:12:00~15:30 16日:10:00~15:30    ミニSLやミニ特急列車に乗ろう!(ミニ鉄道走行会)    協力:OSライブスティームクラブ 兵庫県立考古博物館 体験広場にて    ※別途観覧券要・開始30分前から整理券配布・お一人様2回まで    ※小雨決行(天候により中止になる場合があります)。 駅そば・駅弁販売     ~駅弁の掛け紙は復刻デザイン!~    姫路名物駅そば、駅弁

#自宅でも考古博 23 「型式の移り変わり」

  当館では考古学の成果だけではなく、考古学での「考え方」についても、さりげなく展示しています。東エントランスを入ったところにある「ときのギャラリー」もそうですが、「発掘ひろば」にもそうした展示があります。  「発掘ひろば」の左奥、壁に丸い水筒のような須恵器が四つ並んでいます。これは古墳時代の「提瓶」(ていへい)と呼ばれる須恵器で、型式の移り変わりを実感していただくための展示です。  考古学では、型式の移り変わりを考える際にポイントとなる「ルジメント」という考え方があります。もともとは生物学の用語で、日本語では「痕跡器官」となります。例えば、人の尾てい骨のように、昔は機能していても、現在は退化して、痕跡のみとなっている器官の事です。  提瓶はこの「ルジメント」が判りやすいものですが、それにあたるのはどの部分でしょうか? 提瓶の型式変化    肩の部分に注目してください。右から丸い輪が両方についているもの、輪ではなく鉤状の突起が付いているもの、ボタン状になっているもの、何もついてないものと変化しているのが分かると思います。  これは提げるための紐を結ぶための部分が、その機能が失われることによって、時期が新しくなるにしたがって、退化していくことを示しています。つまり、展示でいうと右から左にかけて、型式が新しくなるということです。  でも、変化の方向としては「提げるという機能が追加されていくという変化(左から右)でもいいのでは?」というツッコミが入りそうです。実は高校の授業で提瓶を使って、ルジメントの説明をしたことがあるのですが、2回の授業とも生徒の圧倒的多数がそういう意見でした。  では、変化の方向を決めるのは何かを再度考えてみます。機能が追加されていく方向に変化するのであれば、紐がひっかけられないボタン状の段階は必要ありませんよね。したがって、型式が変化する方向は右から左ということになるのです。  ルジメントについて、何となくわかっていただけたでしょうか?実際の型式変化については、ルジメントだけではなく、層位学の考え方(古いものが新しいものより深い地層から出土する)なども加味しています。この考え方についても、「発掘ひろば」で紹介していますので、ご確認ください。  ところで、提瓶の変化はどうして起こるのでしょうか?

過去の記事一覧

もっと見る