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体験講座 古代の技に学ぶかごづくり

当館の特徴の一つに、様々な古代体験をお楽しみいただくことがあります。
古代の人々が暮らしの中から生み出した技や工夫は、
現在の私たちにも、様々なことを教えてくれます。



今回の古代体験講座では、天然のつるを使ってかごづくりに挑戦していただきました。
木に寄生する紐のような植物を編んで作ります。

今回は大人の方が対象です。
まず、担当学芸員から講座について説明がありました。

どんなものを作ることができるかをイメージしていただくため、
ボランティアさんがつくった見本も説明に使います。
交互に組み上げて、形をつくるイメージ湧きましたでしょうか。

いよいよスタート。
指導役のボランティアが具体的な作り方について説明されました。
参加者の皆さんは、興味津々で耳を傾けておられました。

材料の「天然のつる」です。
乾燥して折れたり、切れたりしないよう水に浸しています。
この材料の長さ、太さによって、出来栄えが違います。
ボランティアさんたちが、たくさん集めてくださいました。

皆さん一斉に取り掛かりました。
ボランティアさんもしっかり応援します。

最初にかごの底の中心を作る(編む)ことから始めます。
縦横に3本ずつのつるを直角に交差させて、
そのうちの1本を使って、しっかり編み込みます。
ゆるまないように結構力を入れます。

だいぶ底が出来てきました。モノを入れるサイズまで編んでゆくのは一人では大変です。
だんだん緩んでくるので締めつける手助けがいります。

時間がたつと、つるが乾いて折れやすくなるので、
次の工程の説明をする合間は、編んでいる途中でも水に浸して柔らかくします。

底ができたら、今度は側面を立ち上げるように編んでいきます。
上向けで編んでいた底を横に倒して、今度はかごの側面を作ります。

側面が編まれると、少しかごらしい雰囲気になってきましたか?

側面を編むときも、ゆるまないようしっかり締めつけます。
自然のつるは、ところどころ硬かったり、すきまが生まれます。
うまく工夫しながら編んでいきます。

だんだん様子がわかってくると、皆さん思い思いの形に仕上がってきます。
いよいよ形を作るのも終盤です。

ほぼできあがってきました。
最後は縦に長く残ったるつるの先を、側面の編まれた狭い隙間に差し込んで、
つるが上下にゆるんでこないように固定します。

完成です。それぞれ特徴がありますね。
この中には猫を入れるかごとして作ったものがあるそうです。わかりますか?

2時間の体験でできあがりました。


古代の人は、編みあげるのに適したつるを見つけて、
使い方を考えながら、編み方を考えて作りました。
その知恵や工夫は、今を生きる我々にもいろんなことを教えてくれます。
これからも古代体験を通じて、
みなさんと古代の人が残した知恵と工夫を学んでいきたいと思います。



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