特別展が終わって、次の企画展「壱岐の古代文化ー海をめぐる生業と交流」に
向けた準備を進めている考古博物館ですが、メインホールでは7月1日から
新しい展示が登場しました。
考古博物館に収蔵されている何万点の資料の中から、
2ヶ月の期間限定で選りすぐりの”逸品”を展示しています。
今回登場したのは、尼崎市の東武庫遺跡で出土した壺です。
弥生時代には棺の周りに方形や円形の溝で区切った「周溝墓」が
数多くみられ、溝の中からは葬られた人にお供えされた土器など
が出土します。この壷は、今から約2400年前の弥生時代の前期に
造られた周溝墓の溝から、見つかりました。
この土器は、日本が弥生時代だったころ朝鮮半島で使われていた
「無文土器」の特徴を供えています。外面にヘラや櫛で文様描く
弥生土器とは異なり、文様のない素朴な外面をしています。
東武庫遺跡で見つかったこの壺は、形も無文土器と一致します。
遠く海をわたって朝鮮半島からもたらされたのか?
日本で無文土器のつくりかたによってつくられたものか?
はわかりませんが、土器を供えられた人が朝鮮半島とつながり
を持っていたことを示す遺物です。
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意外なほど素朴な佇まいですが、いまから約2400年前の
「海を越えた交流」をうかがわせる東武庫遺跡の無文土器。
遥かな時間と空間の広がりを感じるこの遺物は、8月31日まで
メインホールで展示しています。ぜひ、ご覧ください。