今回の講演会は「城館」について南北朝期に焦点をあてた研究結果や文献に見られる「役所」と呼ばれるものの役割とその影響などについての講演でした。
講演を行う永惠さんは兵庫県教育委員会文化財課での勤務や宮城県への震災復興支援のための派遣など、経験豊富な当館の学芸員です。特に城館研究を専門としており、また”GIS(地理情報システム)”という位置情報データの管理や分析を行うシステムにも精通していることから、今回の講演にはとても力が入っていました。
はじめに、城館研究での考え方について説明がありました。
「13~14世紀の城館」や「南北朝期の戦争地域」について地理情報を基にしながら、城館遺跡の事例や文献史料にみられる記載を踏まえながら、具体的なイメージがつかみやすい解説でした。
宮城県での勤務の時に、実際に平地の城の実地調査に関われたことが、以降の仕事をしていく上で、大変役立ったそうです。
文献に記された「役所」の分布図や「太平記」を引用した史料などを活用されています。
太平記は軍記物のため、内容には誇張した表現が含まれているが、そういった部分を取除くと、とても詳しい史料として有用であるとのことでした。
講演会終了後、展示室でミニ解説を実施していただきました。
講師への質問もたくさんあり、それらの回答も含めて、皆さん熱心に解説に耳を傾けておられました。
※9月30日から開会する秋季特別展においても、テーマである「駅家」に関連した講演会が4回も開催されます。シンポジウムもあります。
第1・2回の申込は既に終了してしまいましたが、3回以降は、まだ間に合いますので、ご興味のある方はどうぞお申込みください。
10/21 播磨の駅家を語る③「高田駅家と大市駅家を語る」 申込み10月 3日まで
10/28 シンポジウム「古代の山陽道の播磨の駅家を探る!」 申込み10月11日まで
11/25 播磨の駅家を語る④「出土遺物からみた山陽道の駅家」 申込み11月 7日まで