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寒風の加古大池で葦刈り -竪穴住居復元プロジェクト-

  毎年恒例、稲美町にある加古大池で葦(ヨシ)刈りを行いました。葦は、竪穴住居を復元するのに必要な材料なので大量に必要です。


 午前9時半、池畔の土手の上に集合。草刈り機等の機材を降ろします。今年はボランティアの手伝いがないので少数精鋭での作業です。
 3日ほど最高気温14度ほどだったのですが、この日(1月17日)は8度まで下がりました。場所が吹きっさらしなので、気温の低さに加え、池からの冷たい風をもろに受けるのでとっても寒かったです。

けがをしないように準備体操から始めます。

 手前は国立明石工業高等専門学校の学生達です。刈った葦の縛り方を担当学芸員から説明を受けています。
 明石高専は建築基礎学習の一環で博物館と共同してプロジェクトに取り組んでいます。大勢来てくれたので心強いです。

 まず、前日に刈り取った場所から葦を集め、束ねて結束します。

 結束した葦は土手の上に停めてあるトラックに積み込みます。

 満杯になったトラックは大中遺跡公園に戻り、葦置き場に降ろします。2トントラック2台が2往復します。

 博物館に残った職員は、運ばれて来た葦を立てかける作業を担当します。

午前中はほぼ予定通り作業を終了しました。

 この日は阪神・淡路大震災から26年目の日です。12時、全員で黙祷をしました。

 お昼は大池の野鳥観測場所で風を避けながら休憩し、温かいお茶やカップラーメンで寒さをしのぎました。いつもとは一味違った楽しいお昼休憩でした。

 午後からは場所を変えてさらに葦を集めます。今年はここ2~3年に比べて長い葦が多く、材料には良いようです。

 刈り込み担当。汗びっしょりです。

 集めた葦の余分な草やゴミを鋤きとるガンジキ担当

 束ねて置かれた葦を結束する係

 場所を変えた午後からは、トラックまで距離があるので運ぶのも大変です。
 葦の束が冷たい風を受け、持っていかれそうになるのをこらえながら、汗をかきかき運びます。それでも順調に作業は進みました。

  3時過ぎに作業終了。記念撮影です。左側で座っているのが高専の学生達です。
 みなさん お疲れさまでした!

  大中遺跡公園の葦置き場は、大量の葦の束が立てかけられていました。

 復元中の竪穴住居です。この竪穴住居の材料のほとんどが加古大池から刈り取った葦です。
 今後も補修や新しい竪穴住居の復元に材料として必要ですので、加古大池の葦刈りは続けていきます。しんどいけど、けっこう楽しみです。

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