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展覧会の撤去作業ご紹介

いつも展覧会の開催直前には、準備の様子をお伝えしてましたが、
今回は展覧会の終了後についてご紹介します。

冬の企画展は当初3月15日までの会期でしたが、
コロナウイルス感染防止のための臨時休館により、3月3日で終了となりました。
そこで、お越しになれなかった方のために、3月8日と15日に展示の様子をお知らせいたしました。
今回は、あまりご紹介していない展覧会の撤去作業の様子をお伝えします。 


展示した遺物を一つずつどこから出したものか確認しています。
冬の企画展は、館所蔵の遺物を展示しますので、遠方の博物館からお借りしたものをお返しするという作業は
ありませんが、館内の収蔵庫のあちこちから抜き出していますので、
元の場所に戻すのは、とても大変な作業です。

大きな土器などは遺物同士が当たって壊れないよう、クッション材で厳重に養生します。

どこに戻すか(どこから運んできたものか)がすぐにわかるよう、メモを付けて一品一品確認し、
コンテナに分けて運びます。このメモのおかげで、スムーズに進みます。
各博物館でもいろいろ工夫しているようです。

1階の特別展示室から地下2階の収蔵庫まで、大型エレベータで何度も往復して運びます。

特別展示室の壁に細釘で固定していた説明用のパネルを撤去します。
釘が目立たないよう、パネルの端(小口面)から斜めに釘を入れているので抜きにくいです。

大体片付けが終了しました。
でもこれで終わりではありません。

数日後、特別展示室では扇風機が何台も稼働していました。
よく見ると展示台の上に扇風機で風を当てています。
展示ケースの壁や台のボードなどから酸性・アルカリ性のガスが発生することがあります。
これらのガスは展示資料に影響を与える可能性があるので、
次回の展示までにガスを飛ばして除去しなければなりません。
展覧会の終了後、次の展覧会の開始までの重要な作業で、1カ月近くかけて行います。

資料を適正に保管・展示するには、室内の環境を資料の材質に応じて適正に保つ必要があり、
当館でも、温度と湿度は空調と調湿剤を使って管理しています。


約1カ月後、ガス除去作業を終えた全ての展示台に簡易検知キットをセットしました。


酸・アルカリなどのガス濃度も温度・湿度と同様に保管上の重要な条件です。
簡易検知キットで空気環境を確認してから次回の展示作業を行なわなければなりません。
青色が酸、赤色がアルカリです。
4~5日後にこれらの色に変化があるかどうか、とても気になります。

今回、展示ケースのガス除去作業を初めて目にしました。
大切な資料を守るために、学芸員は休館中も忙しく作業をしています。

*  *  *  *

お知らせ

当博物館は、4月30日までの臨時休館が、5月6日まで延長になりました。

*  *  *  *

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