スキップしてメイン コンテンツに移動

特別展関連講演会「いま明らかになる兵庫の縄文」

5月18日(土)、開催中の特別展「縄文土器とその世界」の担当学芸員・深井明比古(当館社会教育推進専門員)が講師を務め、講演会を開催しました。
演題は「いま明らかになる兵庫の縄文」。
今回の特別展のテーマでもある兵庫県の縄文時代について、
遺跡の調査やこれまでの研究からわかってきたことをもとにした発表でした。

当博物館として、縄文遺跡をメインにした初の展覧会となる本展について、見どころとなる展示品を紹介しました。
縄文時代は東日本が中心のイメージがあるなかで、西日本でも地形や気候に合わせた営みが続けられていた状況を、
遺跡や出土遺物の特徴から解説しました。

縄文土器や縄文集落における遺構の変遷などをはじめ、兵庫の縄文遺跡の特徴を、縄文人の精神生活にも触れながら解説しました。
縄文時代の特徴である土偶も、兵庫県内から出土しています。中には本場である亀ケ岡遺跡によく似た土偶もあり、モノや人が情報とともに行きかった可能性も指摘がありました。

西日本では、続く弥生時代へのうつりかわりが、大きな研究テーマの一つです。
兵庫県では口酒井遺跡(伊丹市)で縄文土器から稲もみの痕がついていて、日本人が稲作をうけ入れた様子について知る手がかりもみられます。



兵庫県の発見や調査成果から明らかになる縄文時代の様子について、
今回も大勢のお客様にお越しいただき、熱心にお聴きいただくことができました。
会場内は満席となりましたので、外にはモニター席もご用意しました。




講演終了後は展示室へ移動し、
先ほどご紹介した遺物を前にして、解説をお聴きいただきました。

「今後深く埋もれている遺跡の発見により、膨大な資料が一気に増加し、
兵庫県内の縄文文化や社会の解明につながることを期待してやまない」
とのコメントに、多くの方々が興味深く耳を傾けておられました。

連動企画として実施した体験ブース「本物の火焔型土器にさわってみよう」では、
1万5千前の時の重みと、縄文人が作ったモノの温もりをかみしめるかのように、
手にとられた方が大勢いらっしゃいました。
皆さんに手にとってお楽しみいただきました。



次回の特別展関連講演会は5月25日(土)、
奈良県の橿原考古学研究所から講師をお招きして、
「土器棺墓-生と死を媒介する縄文土器-」というテーマでお話しいただきます。

また、講演会終了後には「本物の火焔型土器にさわってみよう」を行います。
ホンモノの縄文土器に触れる機会。
今回の機会をのがした方は、ぜひ。

次週もどうぞご期待ください。
ご来場お待ちしております。

このブログの人気の投稿

あなたは縄文人? 弥生人?

人の顔形はさまざま! 顔の輪郭、髪の毛、眉の形、目・まぶた・鼻・口の形は各人ちがいますが、 これらのパーツも縄文人に多い形、弥生人に多い形があります さて、あなたは 縄文人? 弥生人? まずは「自分の顔をつくってみよう」 縄文顔:四角い顔、太い眉、どんぐりまなこ、二重のまぶた、広がった鼻、分厚い唇、毛深い 弥生顔:面長顔、細い眉、切れ長の目、一重のまぶた、小さな鼻、薄い唇、ひげが薄い まず自分の顔をつくってみましょう これらのパーツをつかって・・・ 自分の顔をつくってみましょう そして、左のページを持ち上げ、右の顔に被せるように折りたたみます そして開いてみると 左に顔が移りましたが、 緑 と 橙色 のパーツに 緑は縄文人 橙は弥生人 各パーツが混じっています 現代人は 縄文人的な要素 と 弥生人的要素 が混じっているのです。 中国大陸や朝鮮半島などから各時代に渡来し、混血し、今の日本人になったと考えられます 「自分の顔をつくってみよう」 は 考古博テーマ展示室「人」のコーナーにあります 是非自分の顔をつくって、試してみてください!

明石駅・西明石駅のむかし

特別展「鉄道がきた!ー舟運・海運・馬車道・鉄道ー」 写真展 協力:西日本旅客鉄道株式会社神戸支社 明石駅・西明石駅のむかしの写真があります 明石駅・西明石駅のむかし 昭和9年の明石駅 昭和30年代前半の明石駅 昭和39年の明石駅 昭和47年の西明石駅(新幹線) 西明石駅の在来線と新幹線(昭和47年) 大阪ー神戸間開通140年記念写真展 是非ご覧ください 【お知らせ】 11月1日(土)10:00~16:00 兵庫県立考古博物館とその周辺を会場に 全国古代体験フェスティバル 2014を開催 雨天決行! ---------------------------------------------------------------------- 大阪ー神戸間開業140周年記念写真展 協力:西日本旅客鉄道株式会社神戸支社 11月30日(日)まで 1階エントランスホール ---------------------------------------------------------------------- 次回の特別展講演会 11月8日(土)13:30~15:00 「山陰山陽連絡鉄道敷設計画と播磨・境ルートの検証」 小西 伸彦 (吉備国際大学外国語学部准教授) ---------------------------------------------------------------------- 11月15・16日(土・日) 15日:12:00~15:30 16日:10:00~15:30    ミニSLやミニ特急列車に乗ろう!(ミニ鉄道走行会)    協力:OSライブスティームクラブ 兵庫県立考古博物館 体験広場にて    ※別途観覧券要・開始30分前から整理券配布・お一人様2回まで    ※小雨決行(天候により中止になる場合があります)。 駅そば・駅弁販売     ~駅弁の掛け紙は復刻デザイン!~    姫路名物駅そば、駅弁

#自宅でも考古博 23 「型式の移り変わり」

  当館では考古学の成果だけではなく、考古学での「考え方」についても、さりげなく展示しています。東エントランスを入ったところにある「ときのギャラリー」もそうですが、「発掘ひろば」にもそうした展示があります。  「発掘ひろば」の左奥、壁に丸い水筒のような須恵器が四つ並んでいます。これは古墳時代の「提瓶」(ていへい)と呼ばれる須恵器で、型式の移り変わりを実感していただくための展示です。  考古学では、型式の移り変わりを考える際にポイントとなる「ルジメント」という考え方があります。もともとは生物学の用語で、日本語では「痕跡器官」となります。例えば、人の尾てい骨のように、昔は機能していても、現在は退化して、痕跡のみとなっている器官の事です。  提瓶はこの「ルジメント」が判りやすいものですが、それにあたるのはどの部分でしょうか? 提瓶の型式変化    肩の部分に注目してください。右から丸い輪が両方についているもの、輪ではなく鉤状の突起が付いているもの、ボタン状になっているもの、何もついてないものと変化しているのが分かると思います。  これは提げるための紐を結ぶための部分が、その機能が失われることによって、時期が新しくなるにしたがって、退化していくことを示しています。つまり、展示でいうと右から左にかけて、型式が新しくなるということです。  でも、変化の方向としては「提げるという機能が追加されていくという変化(左から右)でもいいのでは?」というツッコミが入りそうです。実は高校の授業で提瓶を使って、ルジメントの説明をしたことがあるのですが、2回の授業とも生徒の圧倒的多数がそういう意見でした。  では、変化の方向を決めるのは何かを再度考えてみます。機能が追加されていく方向に変化するのであれば、紐がひっかけられないボタン状の段階は必要ありませんよね。したがって、型式が変化する方向は右から左ということになるのです。  ルジメントについて、何となくわかっていただけたでしょうか?実際の型式変化については、ルジメントだけではなく、層位学の考え方(古いものが新しいものより深い地層から出土する)なども加味しています。この考え方についても、「発掘ひろば」で紹介していますので、ご確認ください。  ところで、提瓶の変化はどうして起こるのでしょうか?

過去の記事一覧

もっと見る