当博物館の渡り廊下に、全国の小学生たちが遺跡や出土品などをテーマに作成した壁新聞を展示しています。ご覧になられた方も多いのではないでしょうか。 これはkid's考古学研究所というところが主催している「kid's考古学新聞コンクール」の入賞作品を全国各地の博物館で展示するというイベントです。 令和2年度から始まり、今回の展示で第5回を迎えました。 実は兵庫県立考古博物館での展示は6月29日までの予定でしたが、よりたくさんの方々(特に子供たち)にご覧になっていただきたいということから、展示期間を延長して夏休み期間中の7・8月にも展示をしていました。 この第5回コンクール入賞者の中には、なんと兵庫県内からの応募作品が2点も含まれています。 明石市内の小学生が興味のあるテーマについて掘り下げた内容で、レイアウトや色遣いにも工夫が見られます。 以下にご紹介します。 〔5・6年生の部〕入賞作品 こちらは装飾品に焦点をあてて、縄文・弥生・古墳時代の人々の髪飾りや腕輪などのアクセサリーについて素材や作り方について丁寧に解説してくれています。また、イラストもとっても上手に描かれています。 〔チャレンジ応募の部〕1~4年生 入賞作品 「じょう文人は何をたべていたのか見よう」という副題で、魚や木の実などについて季節ごとにどのようなものが食べられていたのか、一目で分かるよう工夫したレイアウトになっています。4コマ漫画もあって楽しい紙面になっています。 この新聞コンクールの次回の申し込みが始まります! 【第6回 kid's考古学新聞コンクール】 募集チラシ 応募用紙 応募期間は9月1日(月)~30日(火)の一か月です。(郵送またはメール) 小学生の皆さんはぜひ、挑戦してみてください。 渡り廊下の壁新聞も9月末までは引き続き展示していますので、それらを参考に入賞を目指してください!
ここ数年の夏季企画展では、①前年度に兵庫県教育委員会が実施した発掘調査の成果、②同年度に刊行した報告書掲載の資料、などを展示していますが、 今年度はそれに加えて、③丹波地域の弥生土器、④加西分館「古代鏡展示館」の逸品、も紹介しています。 ひと つの展示会で4種類の展示が楽しめるお得な企画となっています。 そこで、今回のブログは④「古代鏡」にスポットを あててみました。 まず、古代鏡は何でできているのか。 ガラス? 確かに現代では透明なガラスに銀を貼り合わせて作るのが基本ですが、古代の鏡は、銅に錫(スズ)、鉛などを混ぜた合金でできています。金属に映すという意味では今も古代も同じですね。 アレ? 同じような合金で作られた展示品って最近目にしませんでしたか? そうです。春季特別展で主役となっていた銅鐸と同じ「青銅」という 合金 でできています。 ですからこれらの鏡は「青銅鏡」(通称「銅鏡」)と呼ばれていて、年月が経過すると銅鐸のように青サビ(緑青:ろくしょう)により緑色になってしまいます。 (ちなみに古代の鏡は紋様のある面の裏側で映します) 環状乳神獣鏡 たまに、来館者の方から 「どうしてサビをそのままにして展示するのか? きれいに磨かないのか?」 といった質問を受ける時があります。 その答えは「資料の破壊につながる」のと、「緑青には良いサビもある」からです。 緑青は、サビの原因である酸素や水分、二酸化炭素などが銅合金に触れ、金属の表面に発生しますが、このサビが被膜を形成することによって金属内部を腐食から保護する効果が期待できるのです。緑青に覆われた屋外の古い銅像が朽ちてしまわないのはこのためです。 同じサビでもブロンズ病と呼ばれる悪いサビは、腐食、崩壊を進めるため、削り取ってしまう場合もあります。 それから、全面を きれいに ピカピカに磨いてしまうより、サビが進んだものを好むといった 日本人の特有の感性 があることも一因でしょう。まさに侘び寂び(わびサビ)の世界です。 さて、このような青銅の鏡を作りだしたのは古代(紀元前2,000年頃)の中国で、その後、弥生時代になって中国や朝鮮半島から日本に伝えられました。 以下は、常設展示室にあ...