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古代体験講座 チョコと金属の鏡づくり

令和4年2月13日(日)に、古代体験講座「チョコと金属の鏡づくり」を開催しました。



「なぜ、この2つの材料で鏡をつくる企画が生まれたのか?」と言うと、実はこの2つ、作る手順がおんなじなんです!

大まかな工程は4つ。①材料を溶かす、②それを型に流し込む、③冷やし固める、④削ったり磨いたりして整える、の順です。

今回の講座ではまず、食用シリコン製のオリジナル型を使って古墳時代の銅鏡をデザインしたチョコレートをつくり、それを冷やし固めている間に低温で溶ける合金で鏡をつくりました。


<チョコレートの鏡づくり>

(チョコレートを流し込む食用シリコン製の型と、見本の「金属の鏡」)


最初にチョコレートを溶かします。お湯の入ったボウルの上に、細かい粒状のチョコを入れたボウルをのせて、静かに混ぜながら湯せんして溶かします。美味しそうな甘~い香り!


チョコがなめらかに溶けたら、そっと型に流し込みます。余分な空気が入らないように、ゆっくり入れるのがコツです。


型をそっと持ち上げて、トントンと台に軽く打ち付けて、更に空気を抜き、隅々までチョコが行き渡るように調整します。

タッパーに並べたら、あとは冷蔵庫で2時間ほど冷やし、固まるのを待ちます。



<砂型でつくる、金属の鏡づくり>

最初に、溶かした金属を流し込むための型(鋳型/いがた)をつくります。
水を混ぜてほどよい柔らかさにしておいた砂を、まるい枠のなかに詰め、棒で押し固めます。

砂型に元型を埋めてくぼみを作り、はずしたら「鋳型」の完成です。この鋳型がきれいに作れていると、紋様がハッキリした鏡が作れます。

当館ボランティアのサポートのもと、溶けた金属を鋳型へ流し込みます。熱い金属が飛び散る危険があるので、十分に注意しながら行います。
「ほら、まるでさっき作ったチョコレートみたいでしょ。(銀色だけど・・・)」

チョコレートと同じように、すみずみに金属が行き渡り、気泡が残らないように周りをトントンと叩きます。



手でさわれる温度に下がったら、鋳型から鏡をはずし、鏡の周りのはみ出した部分(「バリ」といいます)をペンチで切り取ります。そのあと、ハサミやヤスリを使って細かく形を整えます。

さらに、鏡の表面(顔をうつす方)をピカピカになるまで磨きます。

金属の鏡、完成です!




*   *   *


金属の鏡を2時間かけて作っている間に、冷蔵庫に入れていたチョコレートの鏡が固まりました。型は5種類ありますが、この受講者さんが選択されたのは「月宮図鏡」と言う鏡です。

(月宮図鏡については当館分館・古代鏡展示館のブログで解説しています。
よろしければご覧ください。)


最後にラッピングをして、「チョコの鏡」の完成です!

ちなみに、チョコと鏡には「大切な人に贈るもの」という共通点もあります。翌日のバレンタインデーには、どなたかにプレゼントされたのでしょうか。喜んでいただけましたか?

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