スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

3月 13, 2022の投稿を表示しています

弥生時代の楽器の音色

 当館のボランティアグループ「ひょうご考古楽倶楽部」が袴狭(はかざ)遺跡(豊岡市出石町)から出土した箱形木製品(県指定文化財)を復元しました。 【復元した箱型木製品】 【本物の袴狭遺跡出土の箱形木製品】 この遺物は弥生時代後期にスギで作られた箱形の木製品で、他の遺跡からの出土品や神社の伝世品から、弥生時代の楽器で、「琴板」と呼ばれる打楽器、あるいは天板に弦を張った琴のような弦楽器と考えられています。 側板の2面にはシュモクザメ、カツオ、サケ(またはスズキ)、シカ等の絵が線刻されています。 【復元作業の様子】 どんな音で、どんな音楽を、どんな場面で演奏していたのか…。 令和4年3月12日(土)に、その完成品のお披露目をかねた演奏体験会を行いました。 気候の良い土曜日だったのもあり、会場は大勢のかたで賑わいました。 まず打楽器スタイルの復元品から紹介します。トントンとリズムよく叩いて演奏していただきました。   こちらは弦楽器スタイルの復元品。琴のような澄んだ音色がします。 楽器を演奏しながら、ご兄弟でモデルさんをしてくれました。楽しんでいただけましたか? 違う形の楽器も試作してみました。こちらは弦の強度をテストするためです。 カラムシという草や釣り糸など、いろいろな弦を使い、いろんな音を楽しみました。 古代の人たちもこんな音色を楽しんでいたのでしょうね…♪

考古博物館NEWS vol.29 発行しました

当館の情報誌「兵庫県立考古博物館NEWS」の新刊(29号)ができあがりました。展覧会やイベントなどの当館の催し案内や、博物館活動を紹介する情報誌で、3月と9月の年2回に発行しています。 今回のトップニュースは、令和4年1月20日に開催したオンライン講演会「古代体験研究フォーラム2021『知的障がい・発達障がいのある子どもも楽しめるワークショップデザイン』」の報告です。 (オンライン配信の準備風景) 古代体験研究フォーラムとは、考古学系のワークショップ「古代体験」の内容充実を目指して、関係機関と情報交換するために毎年開催しているフォーラムです。今年度と昨年度は新型コロナウイルス対策のため、オンラインで開催しました。 詳しい内容は、NEWS29号の本誌でお楽しみください。 「博物館NEWS」は、当館の「情報プラザ」などで配布しているほか、兵庫県内の各県民局、県立美術館、県立人と自然の博物館、県立図書館等でも配布しています。どうぞ手に取ってご覧ください。 また、遠方のかたは当館ホームページ内の 「刊行物」のページ でPDFをご覧いただけます。こちらもご利用ください。

講演会「米作りと酒造りの道のりをなぞる」

 兵庫県考古学研究最前線2021の第8弾は、「米作りと酒造りの道のりをなぞる-実験考古学でわかったこと-」と題して開催されました。  今回の講師は、考古博物館の開設からずっと携わってきた高瀨事業部長です。赤米作りや竪穴住居復元を通して古代の暮らしを現代の視点で探求し、実験してきました。  本日も多くのお客様にお越しいただきました。  興味の先は米作り? それとも酒造り?   -米作りをなぞる-  髙瀨講師が兵庫県に採用された昭和60年(1985年)は、高速道路開発が盛んに行われたころで、それに伴う発掘調査の件数も右肩上がりとなり、とても忙しい時期だったようです。  水田跡は広い面積を発掘しないと実態が把握できないので、大規模開発があった当時は水田の発掘が盛んに行われていたとのことです。そんな中、最初に担当した現場が淡路の雨流(うりゅう)遺跡(南あわじ市)の弥生~古墳時代の水田跡だったそうです。    最初に、淡路の志知川沖田南遺跡(南あわじ市)、雨流遺跡(南あわじ市)、播磨の美乃利遺跡(加古川市)、玉津田中遺跡(神戸市西区)、摂津の高松町遺跡(西宮市)などの水田の規模について解説していただきました。  雨流遺跡の水田規模は平均で19㎡、志知川沖田南遺跡は平均約50㎡で、こちらの方が少し規模が大きくなっています。これは地形の影響が大きく関わっているようです。ちなみに高松町遺跡は、水田面積が8,500㎡で38区画あり、1枚当たり24㎡から2,100㎡とバラツキが大きいそうです。 【高松町遺跡の発掘現場】  弥生~古墳時代の水田は、現代の水田とは形や大きさがだいぶ違っており、水田の形はある程度地形で決定されますが、なかには50㎝四方というあまりに小区画すぎる水田もあったりして、その用途は研究の余地ありだそうです。  なお、発掘では田植えか直播きかはわからないことが多く、小区画の水田は直播きかも知れないとのこと。また、どのくらいの収穫があったのかも発掘調査ではわからないそうです。  このあたりの興味から、考古博物館で、赤米や古代米の田植えを平成20年(2008年)から始めたとのことです。  【考古博の田んぼ】  なるべく昔のやり方を模索するため、3年間耕作放棄されていた水田を使用し、品種は対馬、種子島、総社の 赤米 と、参考にヒノヒカリを栽培し、肥料は施さず、移植法(田植え

過去の記事一覧

もっと見る