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2月 13, 2022の投稿を表示しています

講演会「本をつくる仕事、こぼれ話」

 博物館で、本をつくる仕事?って思われたでしょうか。   報告書や展覧会図録、その他、結構あるんですよ。     今回の講師は、発掘調査などの仕事をしながら、本づくりにも長年関わってきた当館の菱田淳子学芸員です。  2年前に予定されていた講演会ですが、新型コロナウイルス感染症の影響で、延期になっていましたが、今回やっと実現しました。   作成する「本」の一部を紹介します。  発掘調査を行うと、出土品の整理や保存、そしてそれらを公開して活用するなどいろんな作業があります。それら発掘調査の「記録を保存」するためのものが『文化財発掘調査報告書』で、年度末に毎年刊行しています。文化財調査の成果物で、貴重な資料となるものです。兵庫県では現在517冊を発行しています。  印刷部数は300部でしたが、阪神・淡路大震災以降に広く情報を発信するため、500部に増やした時期もあったそうですが、現在は300部です。  発掘調査報告書は、堅牢にするため、分厚くなると製本は「糸かがり」という方法で行っていました。最近は無線綴じといういわゆる一般の書籍や雑誌のような方法で行ってますが、糸かがりはコストも高く、手間がかかり、最近は印刷業者でも対応できないところが増えたそうです。  文化財発掘調査報告書と関連して刊行するのが『兵庫県遺跡地図』です。A4版が「発掘調査の手引き」で、埋蔵文化財についての基本的な考え方と取扱いの基準、関連法令、遺跡地名表などで構成されています。  A3版の大きい方が「遺跡分布地図」で、埋蔵文化財包蔵地等の位置や範囲を示した地図編です。  上の写真は、遺跡分布地図の印刷原稿(版下)作成に必要なトレース作業について、実際の見本を提示して説明しているところです。   1980年頃から版組はアナログ機器(活字や和文タイプライター)からデジタル機器(ワープロやコンピュータ)に移行し、とても便利になりましたが、印刷業界のパソコンはマッキントッシュ(Macintosh)が扱いやすく主流だったのに、官公庁はウインドウズ(Windows)だったので、データのよりとりがちょっとやりにくかったそうです。  春と秋の特別展の『図録』の編集も行います。図録は展示資料の写真撮影に多く時間を使います。写真は、当館地下にある写真撮影専用の写真室で撮影します。街の写真スタジオに匹敵するくらいの設備を設け

古代体験講座 古代の木製農耕具を作って使おう

令和4年2月6日(日)、古代体験講座「古代の木製農耕具を作って使おう」を開催しました。 弥生時代の米づくりに使われた「木包丁」(きぼうちょう)と「竪杵」(たてぎね)をナイフで木を削ってつくった後、その道具を使って穂摘みや脱穀の体験をしていただきました。 はじめに学芸員が、当館に展示している資料などを紹介しながら、古代の農耕について解説しました。木包丁(正しくは木製穂摘具)は、石包丁(正しくは石製穂摘具)と同じく穂摘みをする木製の道具で、竪杵は、臼とセットにして脱穀(だっこく:稲穂からモミを外す作業)に使う道具です(おもちをつく道具ではないですよ)。                兵庫県で出土している弥生時代終わりから古墳時代の竪杵の樹種は、カシやツバキ、コナラ、クヌギ、木包丁はクヌギ、ヤマグワが多いんですって。今回の講座では、竪杵はコナラ、木包丁はケヤキでつくりました。 <木包丁> 木目によって刃がギザギザとなるよう、特徴的な木取りによって板材をつくります。それに紐を掛ける孔を2つあけます。 溝をほり、石器のキリで穴をあける 刃をつける 孔のところに溝があるのが石包丁とちがうところ 竪杵と臼でもみすり(モミをもみがらと玄米に分離) 箕(み)に入れて風選(風の力でもみがらを飛ばす) 現代は、ここからさらに玄米を精米して、白米にします。 奈良時代には「米」「白米」「黒米」「赤米」「糯米(もちごめ)」「酒米」「飯米」「粥米(かゆごめ)」と表現された米の種類、あるいは米の精米状態があったことが、出土した木簡(木の札)からうかがえます。

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