7月に入り、考古博のエントランスホールも七夕バージョンに衣替えです。 7日は七夕。彦星(ひこぼし=牽牛(けんぎゅう))と織姫(おりひめ=織女(しょくじょ))が天の川を渡り、年に一度合うことが許されている日です。 このとき、天の川に橋をかけ、二人の出会いを助けるのが「鵲(じゃく)」、すなわちカササギという鳥です。 この伝説は中国のものですが、古代の日本人にも知られた有名なお話だったようで、 「かささぎの わたせる橋に おく霜の 白きをみれば 夜ぞふけにける」 (奈良時代の歌人「中納言家持」)という歌の存在からもうかがえます。 カササギというと宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」にでてきた覚えはあるけれども、実物を見たことがあるという人は恐らく少ないのではないでしょうか。調べてみると九州方面に多く生息しているようで、佐賀県の県鳥にもなっているようですが、全国的な繁殖はしていないようです。 実物のカササギを見ることは難しいかもしれませんが、カササギが表された中国の鏡なら、見ることができます。 その鏡は加西分館「古代鏡展示館」に保管されているので、ぜひこの機会を利用して、ご紹介したいと思います。 鏡(背面)の左右に配置されている鳥がカササギです。 「月宮双鵲銜綬龍濤紋八花鏡(げっきゅうそうじゃくかんじゅりゅうとうもんはっかきょう)」(唐の時代)【 加西分館「古代鏡展示館」 所蔵】 名称を説明すると、 ①<月宮>(げっきゅう) 月(円の中にウサギ・カエル・桂樹がある)の紋様 ②<双鵲銜綬>(そうじゃくかんじゅ) 向かい合うカササギが、鈴付きの紐(綬=じゅ)をくわえている紋様 ③<龍濤>(りゅうとう) 波しぶきを上げて飛翔する龍の紋様 の3種の紋様があり、 ④<八花鏡> 鏡の外形が八枚の花弁のような形をした鏡 となります。 中国では、カササギは男女の仲をとりもつおめでたい鳥と考えられていたようで、特に唐の時代に鏡の紋様として流行しました。左右に向かい合う対鳥形式は、幸せな恋愛や夫婦生活を願ったものとされています。 恋愛の成就を願い、夫婦円満に過ごすことができるよう、鏡に顔を映しながら化粧をした想いは、今よりもず...
弥生の村、史跡大中遺跡に隣接したフィールドミュージアムです。