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9月 6, 2020の投稿を表示しています

兵庫考古学研究最前線2020「神戸海軍操練所の所在を考える」

当館では、注目の発掘調査や最新の研究成果など、兵庫県内の考古学情報をいち早くお伝えする連続講演会「兵庫考古学研究最前線」を毎年開催しています。 今年度の1回目は、「神戸海軍操練所の所在を考える ー発掘調査と画像資料の検討からー」と題して、(公財)兵庫県まちづくり技術センター埋蔵文化財調査部の垣内拓郎主査を講師に開催しました。 神戸海軍操練所跡の位置(赤色の部分) 神戸海軍操練所は、1864年に江戸幕府が勝海舟を軍艦奉行として神戸村に設置した海軍士官の養成や軍需工場の役割をもつ機関で、現在の神戸市中央区にあったとされていますが、大規模な開発などにより具体的な施設の所在地は判別困難となっています。 講演では、2017年に行った発掘調査で見つかった、時期不明の階段状の石組みが海軍操練所にともなうものなのか? そして、石組み検出をきっかけに操練所とその施設の具体的な位置について検討した成果についてお話しがありました。 現在の地図と古い地図を照合し、道のラインや幅など条件が重なる所を探すなど、土地の履歴や地形変化の様子を追うことで、「この場所しかないだろう」という推定地を導きだしていきます。  今後の調査によって、新たな遺構や遺物が見つかり、位置や施設の詳細がさらに明らかになることが期待されます。 当日はまだ暑く、感染症対策にも気をつかうなか、ご来場くださった皆さん、ありがとうございました。  なお、今後の「兵庫考古学研究最前線2020」の予定は以下のファイルをご覧ください。  → チラシPDF (サイズ0.2M) ※定員が72名に変更になりました(9月18日更新)。  講演会参加のご予約は、当館ホームページで受け付けております。   【こちら】 の予約ボタンからお申込みをお願いします。 (応募多数の場合は抽選となります)

現地説明会レポート「弥生時代前期の墓地発見ー神戸市玉津田中遺跡ー」

現地説明会の状況  兵庫県教育委員会が(公財)兵庫県まちづくり技術センター(CTC)埋蔵文化財部に委託し、発掘調査を進めている玉津田中遺跡(神戸市西区)の現地説明会が、8月30日(日)に開催されました。  今回の説明会も新型コロナウイルス感染症対策として、小グループごとに説明を行うスタイルとなりましたが、残暑が厳しい中にも関わらず、大勢の方が参加されました。 方形周溝墓  今回の注目点は二つあります。一つは弥生時代前期の方形周溝墓です。2基の方形周溝墓が東西に並んで発見されました。残念なことに埋葬施設は削られてしまっているのですが、供えられたと考えられる土器が周溝の中から出土しています。また、方形周溝墓の周辺では土器棺墓も4基見つかっています。 棺として使われた土器  棺として使われた土器には甕と壺があり、ヘラ(木の棒)で一本ずつ描いた複数の直線文を巡らせています。 墓域を区画する大溝  もう一つの注目点は、方形周溝墓・土器棺墓の北側で見つかった弥生時代前期の大溝です。幅2.5m、深さ1m余りを測ります。実は、今年の調査個所の南に隣接した昨年度の調査個所でも同時期の大溝と土器棺墓や石棒・土偶といったお祀りの道具が見つかっており、墓域を大溝で区画していたことが分かりました。弥生時代前期のムラがどのように土地を利用していたかについては、まだまだ謎が多く、今回の調査例は貴重なものです。 取材を受ける担当者  当日、飛び込みでテレビ局の取材もありました。CTCの担当者は物おじせず、調査成果を説明していました。その模様は当日夕方と夜のローカルニュースで流れました。  参加者の皆さん、担当者の皆さん、本当にお疲れさまでした。当ブログでは、今後も現地説明会のレポートを発信する予定です。よろしくお願いします。

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