テーマ展示室の遺物展示の最終展示は西洋とつながる建築文化のコーナーで、きれいなタイルを展示しています。
また、地下1階のネットワーク広場奥の収納展示コーナーには、淡路島の珉平焼(みんぺいやき)窯跡から出土した多くの陶器やタイルを展示しています。
今回はその模様替えの様子を紹介します。
テーマ展示室で展示している淡路の珉平焼窯跡から出土した、明治30~40年代頃の湿式タイルです。
多くの陶器やタイルは、地下1階の収納展示コーナーのケースに収めています。
こんな感じで引き出しで見ていただくことができます。
この製品を生産した淡路の「淡陶(株)」は、タイルを大量生産した老舗メーカーです。
カラフルな陶器やモダンなタイルの多くは輸出用です。
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近代のタイルを生産した窯跡の発掘例はなかったのですが、この窯跡から出土されたタイルの表の文様や、裏側の文様の変化をとらえた「タイル考古学」が発表されました。
建物の建築年代や増改築された年代を知る手掛かりとして、タイル考古学が使われています。
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明治時代を中心とする「レリーフタイル」と呼ばれる凹凸文様や、大正時代に生まれた「チューブライニングタイル」と呼ばれる、タイルの表面に小さな壁で釉薬の混ざりをなくして色合いをくっきりさせる方法など、並べてみると違いが判ります。
乾式タイルの裏側には、このような小さな格子状の形があります。これは、タイルを焼く時の金型の形で、何種類かあります。
この型は、明治41~45年頃の生産品であることがわかります。
タイルが薄く、硬くなるよう工夫を重ねるうちに、型にもバリエーションが増えます。
この型は、大正時代後半頃のものです。
これで作業完了です。
どことなく上品な感じに変わったように見えませんか。
(3枚目の写真と比べてみてください)
上段には動物を形どった置物や花留などを並べ、下段の引き出しは、明治から昭和のタイル文様の変遷が判りやすいように展示しています。
博物館が再開されましたら、ぜひご覧ください。
(学芸課 深井明比古)