(ほったん)
狩りと漁は迫力があったね。次は植物か。
うわー。いろいろな種類の木の実があるよ。
(学芸員)
縄文時代の食べ物というと狩りのイメージが大きいけれど、発掘調査の結果、今では、縄文人は植物性の食べ物を主として食べていて、肉や魚などの動物性のものは副としていたと考えられているよ。
縄文時代は今よりも気温が高く、豊かな森が発達していたので、シイやカシなどのドングリのなる木がたくさん生えていたんだ。
このドングリは縄文人にとって大切な食料だったんだ。
ドングリはとっても堅いのに、縄文人は歯が丈夫だったんだね。ボクならアゴが痛くなっちゃうよ。
ドングリはそのまま食べるのではなくて、石皿とすり石を使ってすりつぶし、アクを抜いたあと、他の木の実や肉などと混ぜて練り上げたものを火であぶり、クッキー状にして食べていたみたいなんだ。「縄文クッキー」は縄文人たちにとってはお菓子ではなく、今のごはんやパンにあたる主食だったんだね。
これはトライやるウイークの時に生徒さんたちが縄文クッキーを作っていたときの様子だよ。
今のクッキーとは見た目が違うけれど、ちゃんと食べることができるんだね。すごいなあ。ボクも一緒に作りたかったよ。
縄文人が好んで利用したのはイチイガシなんだ。イチイガシは今でも公園や神社によく植えられていて、縄文人はイチイガシの実をたくさんひろってきて、村のはずれの湿地に掘った穴の中に保存していたんだ。
淡路島の佃(つくだ)遺跡では、ドングリがつまった貯蔵穴も発見されているよ。
考古博物館のとなりにある大中遺跡公園の森は縄文時代の次の時代にあたる弥生時代を再現したものなんだ。この森にもドングリがいっぱい植えられているよ。
そうなんだー。では早速探検してみよう。
本当だ。森の中に説明板が置いてある。
へー、普通の森だと思っていたけれど、ここは弥生時代の景色ということなんだね。
これはヤマモモの木だって。あっちはオニグルミ、それにクリの木もある。
今はまだ木の実ができていないので残念。
ところで、火で焼く以外にも料理方法があったのかな?
もちろん。以前に、ほったんは博物館の入口にたくさんの土器が並んでいるのを見ただろ。その最初の方に展示してあったのが縄文時代の土器なんだ。
この土器を使って煮炊きやアク抜きをして食材に含まれる苦みなどを取り除き、そうすることで、これまで食べられなかったものが食べられるようになったんだ。
土器が暮らしを豊かにしたんだね。
電気やガスがなくても焼いたり、煮たりすることができたから、いろいろな料理もできるようになったんだね。
なんだか、キャンプみたい。
そうだよ。食事はただおなかをいっぱいにするだけのものじゃなくて、おいしく食べることも大事だからね。いろいろ工夫をしたんだ。
こんな話をしていたから、おなかが鳴っちゃったよ。グゥ~