前回は金属器を対象にX線透過装置を使った研修だったけれど、今回は「石」が対象らしいよ。
ここは展示室の地下にある一室。広いなぁ~
どうやらこのスペースは、博物館が貸し借りする資料や各地で出土した遺物などをトラックで運び入れるための搬入口のようだね。
もう研修は始まっているみたいだね。
では、今回も研修生のフリをして・・
あれ? 研修だと思ったら、石を叩いて遊んでいるぞ。
いい大人が集まって何をしているんだろう。
でも、よく見てみると白い石で黒い石を叩くとガラスのように黒い石の方が割れている。
硬い石があんなにきれいに割れるものなのかな?
こっちが白い石。
形は丸くて河原などで見かけることの多い普通の石ころだね。
そしてこちらが黒い石。
さっきの石と比べると平べったい形をしている。それに外側は灰色っぽいのに中は真っ黒だね。
これは何ていう石なんだろう?
よ~し思い切って講師の人に聞いてみよう。研修生のフリをしてバレないように堂々と質問しないといけないな。
(ほったん)
「ゴホン。館長から特別に研修生に任命された“ほったん”といいます。
好きな食べ物は明石焼きとかつめしです!」
「この黒い石は変わった石ですね?」
(講 師)
特別研修生ですか? とても優秀なんですね、ご苦労様です。
黒い色は、火山の溶岩が固まってできた石だからなんだ。この石は“サヌカイト”と言って、ごく一部の地域でしか採れない貴重な石なんだよ。
およそ1300~1500万年前の火山活動によってできた石で、叩くとカンカンと金属音がするので「カンカン石」とも呼ばれているんだ。
へー、 音が鳴るなんて不思議な石だね。
さっき叩いているところを見たけれど、簡単に割れちゃうんだね。
これがその破片か。割れ方も変わっていて、薄く裂けるように割れるんだ。
叩き方を工夫すればもっと薄く割ることもできて、紙が切れるぐらいになるよ。
だから、縄文人が弓矢の矢じりに使ったりしていたんだね。
以前に博物館の常設展にいろいろな形のものが展示されているのを見たことがあるよ。
縄文人とほったん
でも、叩いただけでこんなにうまく形ができあがるのかな?
叩いてできた破片を利用して、細かく割ったりしながら形を整えていくんだよ。
例えば鹿の角と皮を使って加工していくんだけれども、考古博物館で作製したユーチューブの映像で、「打製石器をつくる」というタイトルの作品があるから、また時間のある時に見てみるといいよ。
打製石器をつくる ←こちらをクリック(具体的によく分かるよ)
石はこのように打ち欠いて先を鋭くして狩猟の道具としたり、また硬くて重い石は木を切り倒すための石斧、それからドングリなどの木の実をすりつぶす磨石(すりいし)などに使って、縄文時代や弥生時代には生活するうえでとても重要な役割を担っていたんだ。
それぞれの石の特徴を生かしていろいろな道具に活用していたんだね。
じゃあ、ボクも研究のためにさっそく石ころの転がっている喜瀬川に行って、サヌカイトがないか探してみるよ!
バイバイ!
ほったん待って~! ア~行っちゃった。
“サヌカイト”は四国の讃岐(さぬき)地方〔おもな産地は香川県坂出市〕で多く採取されていたのでこの名前がついているんだ。
喜瀬川をいくら探しても無理だと思うよ・・。