5月13日(土)に、春季特別展『古墳時代の技術革新』関連講演会の第1弾「古墳の変遷」を開催しました。
講師は、当館の和田晴吾館長です。今年度最初の講演会であり、さらに和田館長が講師とあって、事前の申し込みには定員の3倍近くのご応募をいただきました。ありがとうございます。
講演では、特別展の見どころとあわせて、古墳の編年検証からみえる様々な古墳の見方や、古墳時代の社会が劇的に変革していく様子のお話でした。
編年とは、モノの形や大きさ、系統などを整理し比較することで、時間や社会の移り変わり(変遷)を調べる目的の研究作業のことです。
古墳は、多少の地域差や階層差はあれど画一的であり、墳墓や埋葬施設などの型式差が比較的顕著なことから、古墳や古墳の副葬品などの編年・時期区分を検証することは、当時の社会の推移を知ることの大きな手がかりになります。
和田館長は、なかでも「古墳時代中期(4世紀後葉~5世紀中葉)には、近代の明治時代にあったような大きな文明開化があった」と言います。
それは、ヤマト王権下で中国や朝鮮半島諸国との交流が活発に行われ、多くの人が行き交い、モノや情報が伝来した結果であり、
例えば、
・牛馬の飼育と乗馬が始まった→馬具が使われる。
・新しい衣食住の情報が入り、米を蒸して食べるようになった→甑(こしき)が使われる。
などが、その一端にあたります。
この技術革新については、今回の特別展で実物を紹介しておりますので、ぜひ展示をご覧ください。
最後に、最新の発掘情報として、奈良市教育委員会が調査を行っている富雄丸山古墳の話題にふれました。盾形銅鏡と蛇行剣が出土したことで、この春、テレビニュースでも大きくとりあげられましたね。館長が奈良市から特別にお借りした写真も見せていただきました。
館長の講演会の参加者の方から、
「講演会が始まる前と終了後の2回、特別展を見せていただいたのですが、お話しを聞いて
展示がより深く理解できた。面白かった」と言っていただきました。
当館の展示は、当日のチケットを提示していただければ何回でも出入りできますので、またご利用ください。
ありがとうございました!