ここは宍粟市北部の奥深い山の中です。森の中を駆け巡るは、埋蔵文化財課の村上泰樹職員です。森の管理のために、伐採した樹木を運ぶ道路がつくられる場所を調査しています。
現地に入るなり、黒っぽい塊を拾いあげます
辺りを調べると、至る所に塊が落ちています
ホットケーキを割ったような、スポンジのような気泡がよく見えます
製鉄炉で溶かした鉄の塊「鉄滓」です
「ここで拾った滓は、製鉄炉の炉壁や炉の底に溜まった鉄分の多い炉内滓、製鉄炉操業時に炉の外へ排出したガラス分の多い炉外滓があり、この付近に製鉄炉があるはずです」
炉内滓(左)と炉外滓(右)
これは重要です
付近をよく捜すと、陶磁器の碗が落ちています
肥前系の碗
江戸時代後期(18世紀後半から19世紀前半)の肥前系の碗で、
少し離れた場所には、その頃の年号の刻まれた墓石もありました
どうやらこの地に住み着いて製鉄を営んだ集団が存在したようです
兵庫の鉄を極めて、この道40年のベテラン職員
新しい遺跡を発見し、また新しい兵庫の鉄の歴史の1頁を綴っていきます