東日本大震災復興調査支援職員として兵庫県教育委員会から福島県教育委員会派遣されている甲斐昭光から、たよりその2が届きました。
現場のそばの川には異様にカラスが多いのです。「サケを狙っているからだべ」と作業員さんから教えられ、仕事のあと見に行ってみました。するとそこには、浅瀬を流れに逆らって泳ぐサケ、力なく流されていくサケ、そして大量の息絶えたサケが。そしてカラスたちも。
初めて見るこの壮絶な光景は、山内清男が「サケ・マス文化論」を唱えた背景にあった、東日本に普通に見られる野性の生と死の光景そのものだったのでしょう。「サケ・マス文化論」というのは、縄文文化の東日本の優位性を説明するのに、大量の食糧資源としてのサケの存在を重視する古くからの説です。
「絶えるな! 遡上」
現場のそばの川には異様にカラスが多いのです。「サケを狙っているからだべ」と作業員さんから教えられ、仕事のあと見に行ってみました。するとそこには、浅瀬を流れに逆らって泳ぐサケ、力なく流されていくサケ、そして大量の息絶えたサケが。そしてカラスたちも。
初めて見るこの壮絶な光景は、山内清男が「サケ・マス文化論」を唱えた背景にあった、東日本に普通に見られる野性の生と死の光景そのものだったのでしょう。「サケ・マス文化論」というのは、縄文文化の東日本の優位性を説明するのに、大量の食糧資源としてのサケの存在を重視する古くからの説です。
現在10~11月に福島県の河川を遡上するサケは、梁場ですべて捕獲されて人工採卵・受精されたシロザケの稚魚が海で成長して、4年後に回帰したものだそうです。
震災後は放流事業がストップしていますから、今見たサケは、震災前に放流された稚魚です。また、回帰率は約1%らしいので、あと数年でサケがほとんど見られない川になるかもしれないという訳です。これも震災による漁業へのダメージといえます。
震災のせいで、偶然にもサケの自然産卵を目の当たりにすることができました。多くの息絶えたサケを見て、4年後にこの川を遡上してくる逞しいサケを見たいものだと思いました。それは、震災を越えた、したたかな命のつながりだからです。