今日は阪神・淡路大震災19周年
6,400人あまりの尊い命が奪われた、あの大震災から19年が経ちました
それ以降も我が国では東日本大震災など多くの大規模自然災害と向き合っています。
一方、過去の自然災害の痕跡を発掘し、詳細に分析して
今後の防災に活かすべく各分野で研究が進められています。
阪神・淡路大震災のつどい1.17(撮影:2008)
県教委により1991年に発掘調査された、淡路市佃遺跡では1596年慶長伏見地震(有馬ー高槻構造線活断層系)と考えられる液状化跡が多く発見されました。
【佃1】淡路島の佃遺跡では・・
【佃2】平安時代末から鎌倉時代の集落が発見された面で
黒っぽい地面に白い砂が詰まった地割れ状の「砂脈」がみられました
【佃3】上と同じような箇所でみつかった
長さ50cm程度の砂のかたまり(恐竜の足跡ではありません)
【佃4】平安時代末から鎌倉時代の木製の井戸枠が大きく傾いています
【佃5】一方、縄文時代後期(今から約3,500年前)の面からも砂脈が発見されました
そこで・・・
【佃6】寒川旭さん(通産省工業技術院地質調査所:当時)に
現地調査をお願いしました
その結果、いずれも過去の大地震で発生した”液状化跡”であることが判りました
佃2の砂脈は液状化に伴う「噴砂」
佃3は液状化に伴う土壙(穴ぼこ)状の「噴砂」
佃4は液状化に伴う「側方流動」
以上は平安時代末から鎌倉時代の遺構面が引き裂かれ、江戸時代の土壌に覆われていたことなどから「慶長伏見地震」1596年による液状化跡と考えられます
佃5の縄文時代後期の面でみつかった噴砂は
有馬ー高槻構造線活断層系か東浦断層系の地震、
あるいは100年余りの周期で繰り返している南海地震の痕跡と考えられます。
阪神・淡路大震災では西海岸沿いの「野島断層」が動きましたが
慶長伏見地震では西海岸沿いの「東浦断層」が動いたと考えられています
佃遺跡で発見された液状化跡などは寒川旭さんが提唱する
「地震考古学」の貴重な事例となりました。
地震痕跡と考古学的な資料との関係も詳細に分析し、
地震周期やそのメカニズムを解明することにより、
今後予想される南海地震や内陸部の地震への防災に活かされるでしょう。
阪神・淡路大震災 慰霊と復興のモニュメント
東遊園地にて(撮影:2013.1.17)
足下を見据えて
大規模災害への備え忘れずに・・・