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#自宅でも考古博 26 「発掘こぼれ話その2ー京都府元稲荷古墳の発掘ー」

 1969年、大学3回生の夏、助手になった都出比呂志さんの指導する向日市元稲荷(もといなり)古墳の発掘に参加した。全長90m余りの前方後方墳である。

 この古墳の後方部には大きな貯水タンクがあり、タンクを造る前の調査では古手の竪穴式石槨が見つかっており、報告書も出ていた。
 そのためもあって、発掘は前方部に限られた。前方部からみて左側(西側)のくびれ部を丹羽佑一さん(香川大学)等、右側(東側)のくびれ部を川西宏幸さん(筑波大学)等が担当し、前方部平坦面を吉田恵二さん(國學院大學)、和田等が担当した。小林謙一さん(奈良文化財研究所)もいた。都出さんは作業員の人たちと前方部の中軸線に沿って深いトレンチを入れ、埋葬施設の有無や土層を調べていた。

 葺石の検出がおもな目的の両くびれ部班は、元のままの葺石と崩れた葺石の判別に苦労していた。特に左側は真夏の西日が厳しく照りつけ、「夕日のゲットー」などと呼んで若干やけ気味になっていたが、最終的にはここから見事な葺石が発見された。
 前方部平坦面では後方部よりの非常に浅いところから、この古墳を一躍有名にした特殊器台形埴輪と二重口縁壺形埴輪の一群が検出された。ここは木陰もあって、手スコ(移植ゴテ)、竹ベラ、根切りハサミ、ホウキの優雅な作業だった。木に掛かったラジオからはその頃流行のビートルズの歌が流れていた。

出土した埴輪
(梅本康広編2015『元稲荷古墳の研究』(『向日丘陵古墳群調査研究報告』第2冊)向日市埋蔵文化財センターより転載)

 私には、この発掘では、特殊器台形埴輪もさることながら、葺石の根石(基底石)が縦長に用いられていたのが印象に残った。後に、宮内庁が発掘した奈良県天理市渋谷向山(しぶたにむこうやま)古墳で、後円部真後ろから上下2列の縦長の根石が出たのを見学し、元稲荷古墳に隣接する五塚原古墳で同様な根石をふたたび検出するに及んで、その系譜的つながりを強く感じた。これにつては立命館大学の院生だった廣瀬覚さん(奈良文化財研究所)が論文をものにした。
(館長 和田晴吾)


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